俳句びとは、季語から一句を詠んで共有できる無料の俳句SNSです。気になる季語を選んで、一句詠んでみましょう。
正岡子規や高浜虚子などの名句(出典つき)とともに、3月を代表する季語を紹介します。
つばき
赤い椿白い椿と落ちにけり
意味・由来 椿はツバキ科の常緑高木で、春の訪れとともに赤や白の鮮やかな花を咲かせます。古くから日本人に親しまれており、『万葉集』にもその美しさが詠まれています。名前の由来は、葉に艶があることから「艶葉木(つやばき)」、あるいは厚みのある葉から「厚葉木(あつばき)」が転じたとする説が有力です。冬に咲く
のどか
長閑さや障子の穴に海見えて
意味・由来 「長閑」は、春の暖かな日差しの中で空気がゆったりと和み、天地の万物がのんびりと落ち着いている様子を表す三春の季語です。平安時代の和歌にも「のどけし」として多く詠まれており、古くから日本人に愛されてきた春の実感です。寒さが緩んで心身ともにほぐれていくような、穏やかな空気感を一言で象徴してい
ひな
名をつけて鴇母にするや崩れ雛
意味・由来 「雛(ひな)」は、三月三日の雛祭りに飾られる雛人形のことです。古代中国から伝わった上巳の節句における厄払いの風習と、平安時代の貴族の少女たちが行っていた人形遊びである「ひいな遊び」が結びついて生まれました。江戸時代に入ると、女の子の健やかな成長と幸福を祈る行事として広く庶民にも定着し、現
たにし
ぎやう/\し田螺おさへてなく蛙
意味・由来 「田螺(たにし)」は、水田や小川、池などの泥底に生息する淡水性の巻貝です。冬の間は泥の深くに潜ってじっとしていますが、春の訪れとともに水が温んでくると、泥から這い出して活発に動き始めます。その動き出しに春の息吹を感じられることから、古くから春の季語として親しまれてきました。かつては農村な
きじ
子に鳴いて見せるか雉の高調子
雉(きじ)は、古くから多くの俳人に愛されてきた季語です。この季語が持つ背景や歴史的文脈を理解することで、より深みのある俳句を詠むことができます。情景をありのままに写生したり、自分の感情を重ね合わせたりと、様々な表現方法が存在します。
ねはん
涅槃會や蚯蚓ちきれし鍬の先
意味・由来 「涅槃(ねはん)」とは、仏教の開祖である釈迦が入滅したこと、すなわち肉体を離れて完全な悟りの境地に入ったことを指す春の季語です。陰暦二月十五日(現在の三月頃)にあたり、多くの寺院では釈迦の遺徳を偲ぶ「涅槃会(ねはんえ)」が営まれます。堂内には、横たわる釈迦の周囲で弟子や動物たちが嘆き悲し
みずぬるむ
万歳の渡りしあとや水温む
意味・由来 「水温む」は、厳しい冬の寒さが和らぎ、川や池、湖などの水が次第に温かさを帯びてくる情景を表す春の季語です。実際に触れたときの冷たさの緩みはもちろんのこと、水面の輝きや水底の透き通るような明るさなど、視覚的にも春の訪れを感じさせます。冬のあいだ凍てついていた自然が息を吹き返し、命の気配が水
ねはんぞう
涅槃像胡蝶の梦もなかりけり
意味・由来 「涅槃像(ねはんぞう)」とは、釈迦が入滅(死去)したときの姿を表した仏像や絵画(涅槃図)のことです。頭を北、顔を西に向けて右脇を下にして横たわる釈迦の周りに、嘆き悲しむ弟子や菩薩、さらには動物たちまでもが集まる様子が描かれます。陰暦二月十五日(現在の三月十五日前後)に行われる釈迦の追善法
ひがん
つく鐘を唖の見て居る彼岸哉
意味・由来 「彼岸」は春分の日を中日とする前後七日間のことです。単に「彼岸」と言えば春の季語となり、秋のものは「秋彼岸」と呼んで区別します。元々は仏教用語で、迷いのある現世である「此岸」に対して、悟りの境地である「彼岸」を指す言葉でした。古くから先祖供養のために墓参りや法要を行う習慣があり、同時に「
かえる
古池や蛙飛びこむ水の音
意味・由来 「蛙(かえる)」は春の季語で、冬眠から目覚めて活動を始める蛙たちの様子を指します。古くは『万葉集』や『古今和歌集』の時代から「かわず」として和歌に好んで詠まれてきました。現代でも田んぼや水辺で鳴く声、コミカルに跳びはねる姿、水に飛び込む音など、五感を通して春の訪れと生命の息吹を感じさせる
もものはな
牛飼も牛も眠るや桃の花ノ句繋がれて牛も眠るやもゝの花
意味・由来 「桃の花」は仲春を代表する植物の季語です。古く中国から渡来した花で、中国の神話や伝説では不老長寿の仙木とされ、邪気を払う神聖な力を持つと信じられてきました。日本でも三月三日の上巳の節句、いわゆる「桃の節句」に飾られる花として親しまれています。桜よりも花びらが肉厚で丸みを帯びており、鮮やか
すぎのはな
一すぢの春の日さしぬ杉の花
意味・由来 「杉の花」は、春先に杉の枝先に咲く花、特に黄色く熟して花粉を放つ雄花を指す春の季語です。二月から四月頃にかけて、山々の杉林が赤褐色から黄色みを帯び、風が吹くたびに煙のように濃い花粉を大気中に舞い上げます。現代では花粉症の原因として厄介者扱いされがちですが、俳句の世界では、春の訪れを山肌の