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「涅槃(ねはん)」とは、仏教の開祖である釈迦が入滅したこと、すなわち肉体を離れて完全な悟りの境地に入ったことを指す春の季語です。陰暦二月十五日(現在の三月頃)にあたり、多くの寺院では釈迦の遺徳を偲ぶ「涅槃会(ねはんえ)」が営まれます。堂内には、横たわる釈迦の周囲で弟子や動物たちが嘆き悲しむ姿を描いた「涅槃図」が掲げられます。死という哀悼の情だけでなく、すべての苦しみから解き放たれた大いなる静寂と慈悲の心が込められた季語です。
お釈迦様の死を悼む厳粛さや静けさと、寒さが緩んで草木が芽吹き始める春の兆しを重ねて詠むのが効果的です。寺院の情景だけでなく、涅槃図に描かれた小さな動物たちに着目したり、お線香の煙、寺を包む柔らかな春の光などを切り取ったりすることで、実感のこもった句になります。重苦しくなりすぎず、春の温もりや命の尊さをじんわりと感じさせる表現を目指しましょう。
・寺院や仏事の様子(香煙、鐘の音、古寺、絵解き、白布) ・光や空気の質感(春光、淡き光、薄霞、静寂、春風) ・心情や感覚(慈悲、祈り、穏やか、まどろみ)