烏扇
summer 生活

烏扇

からすおうぎ

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意味・由来

「烏扇(からすおうぎ)」とは、主に黒い渋団扇(しぶうちわ)や黒漆を塗った扇のことを指す夏の季語です。柿渋に煤(すす)や墨を混ぜて塗ることで全体が真っ黒に仕上げられており、その様子をカラスの羽に見立ててこの名が付きました。実用的でありながら、どこか古風で重厚感のある漆黒の風情が、江戸時代から庶民や文人に愛されてきました。なお、アヤメ科の植物である「檜扇(ひおうぎ)」の別名として用いられることもあります。

この季語で詠むコツ

烏扇を詠む際は、その独特な「黒さ」に着目することが大切です。白い肌や明るい夏の光とのコントラスト(色彩の対比)を意識すると、映像が鮮明になります。また、黒い団扇がはためく時の日陰の涼しさや、少し泥臭い日常の生活感、哀愁を漂わせることで、単なる団扇とは一味違った「烏扇」ならではの渋みを引き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩の対比: 「白肌」「白昼」「青空」「水」
  • 生活感・日常: 「炭」「夕暮れ」「路地」「長屋」「手習い」
  • 感覚・動作: 「涼風(すずかぜ)」「日陰」「夕涼み」「ぱたぱた」

烏扇」の俳句例 (3件)

炭売に美人ありけり烏扇
宝井其角【現代語訳】真っ黒な炭を売る店に、なんと美しい女性がいたことよ。彼女が手に持っている黒い烏扇が、その美しい白肌をいっそう引き立てている。 【鑑賞】炭の黒さ、烏扇の黒さと、女性の肌の白さ・美しさが鮮やかに対比された一句です。其角らしい都会的で洒脱な観察眼と、ユーモアが光る名作です。
我宿は蚊のなき比や烏扇
向井去来【現代語訳】私の家では、もうすっかり蚊がいなくなる涼しい時期になってから、ようやく烏扇を取り出して使い始めるのだな。 【鑑賞】去来のつつましくものんびりとした暮らしぶりが伝わってくる句です。実用的な暑さ対策としての団扇を、季節の移り変わりの中で少し遅れて使うという、どこか滑稽で味わい深い生活感が描かれています。
絵に描いて烏扇の涼しさよ
正岡子規【現代語訳】絵に描かれた烏扇であるというのに、その黒い佇まいを見ているだけで、本物の涼しい風が吹いてくるかのような心地よさだ。 【鑑賞】烏扇が持つ独特の「涼」のイメージを、絵画というモチーフを通じて表現した子規の軽妙な一句。黒い扇という存在自体が放つ涼感を鋭く捉えています。

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