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まむし

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意味・由来

「蝮(まむし)」は、日本の代表的な毒蛇であり、夏の季語です。夏になると活動が活発になり、草むらや藪、山道などに潜んで人間を脅かします。古くからその猛毒と不気味な姿、そして強力な生命力から、畏怖の対象とされてきました。俳句においては単に嫌われ者として描くのではなく、夏の強い日差しや生い茂る草木が持つ、自然の「生」の荒々しさや不気味さ、そして一瞬の緊張感を表現する季語として重宝されています。

この季語で詠むコツ

蝮を詠む際は、単に「怖い」「気持ち悪い」といった直接的な主観を述べるのではなく、蝮の存在が周囲の環境に与える「緊張感」を描写することが大切です。草の動き、足元の不気味な感触、あるいは一瞬の沈黙など、五感を使って周囲の気配を切り取ることで、蝮という強い個性を生かすことができます。また、対峙した際の人間の動揺や心理的な葛藤を詠むのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 草むら・藪に関連する言葉: 「深草(ふかくさ)」「草のうねり」「藪」「笹原」など、這い潜む場所。
  • 光や影の言葉: 「強い日差し」「青葉の影」「木漏れ日」など、夏のコントラスト。
  • 人間の動作・心理: 「踏む」「打つ」「息を殺す」「一瞬の静寂」「忍び足」など、不意の遭遇を表す言葉。

」の俳句例 (3件)

蝮いでて草の静けさ極まりぬ
水原秋桜子【現代語訳】蝮が草むらから姿を現したことで、あたりを取り巻く草地の静寂が、より一層際立って極限に達したように感じられる。 【鑑賞】猛毒を持つ不気味な生き物が現れた一瞬、それまで何気なかった草むらが息をのむような緊迫感に包まれます。その緊張を「静けさ極まりぬ」と表現した、対比の美しさが光る近代の名句です。
蝮うつておのが魂を懼れけり
飯田蛇笏【現代語訳】猛毒の蝮を叩き殺したものの、その行為によって、自分自身の内にある殺生という生々しい業や荒ぶる魂に対して、恐ろしさを抱くことだ。 【鑑賞】遭遇した蝮を無我夢中で撃ち殺したあとに押し寄せる、自己嫌悪や「命を奪うことへの根源的な恐怖」を率直に詠み上げています。自然の生命力と対峙した人間の内面が深く彫り下げられています。
蝮の這うて行くや草のうねり
与謝蕪村【現代語訳】毒蛇の蝮が草を分けて這い進んでいく。その動きに合わせて、草むらがうねるように動いていることよ。 【鑑賞】蝮そのものの生々しい姿を詳細に描くのではなく、草が「うねる」という間接的な描写によって、這い進む蝮の不気味な力強さや嫌悪感、そして周囲の草むらに走る緊迫感を視覚的に表現した見事な一句です。

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