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意味・由来\n「茆(う)」は、スイレン科の水生多年草である「蓴菜(じゅんさい)」の古名であり、初夏の季語です。沼や池に自生し、水面に楕円形の葉を浮かべます。その若芽や葉の裏側にある、透明でぷるぷるした粘液(ヌル)に包まれた部分を食用とします。古くは『万葉集』にも「ぬなわ(蓴)」として詠まれており、古来より日本の清らかな水辺を象徴する植物として親しまれてきました。その涼しげな佇まいと独特の食感は、古くから日本の夏の味覚として愛されています。\n\n### この季語で詠むコツ\n「茆」を詠む際は、その生育環境である「水」の美しさや透明感、静寂さを意識することが大切です。また、粘液に包まれた若芽のみずみずしさや、水面に浮かぶ葉の緑と水底の暗さとの対比を描き出すことで、初夏らしい涼しげな叙景句に仕上がります。ただ植物を描くだけでなく、周囲の空気感や光の加減を捉えるのがコツです。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n* 水面の様子(「澄み渡る」「水底」「濁りなき」「静けさ」など)\n* 地形や情景(「沼」「沢べ」「池の底」「小舟」など)\n* 涼感を表す言葉(「涼し」「青し」「五月雨」など)

」の俳句例 (3件)

蓴生ふて水濁りなき沢辺かな
松尾芭蕉【現代語訳】蓴(じゅんさい)が生い茂って、少しの濁りもなく澄み渡っている沢辺の美しい景色であるよ。【鑑賞】松尾芭蕉が旅の途中で澄んだ水辺に目を留めた句です。水底から伸びる緑豊かな蓴と、それを包む極めて透明な水が、初夏の清涼な空気感を鮮やかに描き出しています。
蓴生ふていよいよ暗き沼の水
高浜虚子【現代語訳】蓴(じゅんさい)がびっしりと水面を覆うように生い茂るにつれて、沼の水はいよいよ深く、暗い色を湛えている。【鑑賞】水面を覆い尽くす蓴の葉によって光が遮られ、水底の暗さが増していく様子を鋭く観察した句です。自然の神秘的な静寂と、深い生命力を感じさせます。
蓴掘る小舟の人のうたひかな
与謝蕪村【現代語訳】蓴(じゅんさい)を採っている小舟の人が、何やら歌を口ずさんでいるのが聞こえてくることよ。【鑑賞】初夏ののどかな沼地で、一人小舟を浮かべて蓴を採る人々の生活の営みを捉えています。静かな水面を渡る伸びやかな歌声が、視覚的な美しさに音の広がりを添えている名作です。

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