鹿子毛をかふる
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鹿子毛をかふる

かごけをかうる

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意味・由来

「鹿子毛をかふる(かごけをかうる)」は、仲夏の季語です。春から夏にかけて、鹿が冬の地味な灰褐色の毛から、白い斑点のある美しい「鹿の子(かのこ)模様」の夏毛へと生え変わる様子を指します。冬を生き抜いた古い毛が抜け落ち、鮮やかで艶やかな「鹿子毛」へと新調される様子は、まさに夏の瑞々しい生命力の到来を感じさせ、古来より俳人たちに愛されてきました。

この季語で詠むコツ

この季語を詠む際は、単に鹿の姿を描写するだけでなく、生え変わるプロセスのなかに宿る「生命の更新」や「瑞々しさ」に着目するのがコツです。ごわごわとした冬の毛が抜けかけ、その下から鮮やかな斑点が見え始める過渡期の力強さや、すっかり生え変わって美しく輝く夏の鹿の初々しさを視覚的に描写すると、季語の持つ季節感がぐっと引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

鹿の毛の質感や色彩を引き立てる言葉がよく合います。「小雨」「朝霧」「木漏れ日」といった自然の光や気象を想起させる言葉や、「角(つの)」「背」「瞳」など鹿の身体の一部にフォーカスした言葉と取り合わせるのがおすすめです。また、「奥の院」「社(やしろ)」「木の間(このま)」など、鹿が生息する森の静けさや神秘性を漂わせる名詞とも非常に相性が良いです。

鹿子毛をかふる」の俳句例 (3件)

毛を替ふる鹿の背に降る小雨かな
渡辺水巴【現代語訳】新しく美しい夏毛に生え替わったばかりの鹿の背に、しとしとと静かに夏の小雨が降り注いでいる。 【鑑賞】「小雨」という繊細な気象が、毛を替えた鹿の初々しくも艶やかな背中の質感をいっそう引き立てています。雨に濡れる鹿の子模様の美しさが静かに伝わる抒情的な作品です。
毛を替ふる鹿の行衛や奥の院
飯田蛇笏【現代語訳】夏の訪れとともに美しく毛を替えた鹿が、どこへともなく去っていく。その行方を追うと、深い山の中にある奥の院へと向かっているようだ。 【鑑賞】毛を替えたばかりの鹿の鮮やかな姿と、深山幽谷の「奥の院」という神聖で静謐な空間の対比が美しい一句。静寂の中に野生の生命力が息づいています。
毛を替ふる鹿や木の間を立ち出づる
高浜虚子【現代語訳】美しく夏毛に生え替わった鹿が、木々の間からすっと姿を現した。 【鑑賞】「立ち出づる」というシンプルな動作によって、鹿の姿が鮮明に浮かび上がります。夏の爽やかな木漏れ日の中で、新しくなった鹿の子模様が生き生きと輝く一瞬を捉えた名句です。

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