守宮搗く
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守宮搗く

やもりつく

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意味・由来

「守宮(ヤモリ)」は、人家の壁や窓に張り付き、蚊や蛾などの害虫を捕食することから「家を守る」と書きます。そのヤモリが、夏の夜に壁を「トクトク」と叩くような微かな音を立てることを「守宮搗く(やもりつく)」と言います。実際には「キッキッ」と喉を鳴らす鳴き声なのですが、昔の人はこれを壁を叩いて(搗いて)いる音と捉え、そこに風情を見出しました。夏の夜の静けさを強調する、非常に聴覚的で情緒のある季語です。

この季語で詠むコツ

この季語の最大の魅力は「静寂」の演出にあります。ヤモリが立てる音は決して大きなものではありません。そのため、その微小な音が際立つような「夜の静けさ」や「住まいの静寂」を意識して詠むのがコツです。音そのものを細かく描写するよりも、その音が聞こえてくることによって引き立つ周囲の静けさや、作者自身の孤独感・没頭感を表現すると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

静けさや夜の時間を表す言葉と非常に相性が良いです。「読書」「灯火」「深夜」といった、知的な静寂を想起させる言葉や、「柱時計」「暗がり」「障子」「襖」など、古い日本家屋のディテールを表す言葉を取り合わせると、守宮の立てる音がより立体的に響くようになります。

守宮搗く」の俳句例 (3件)

守宮搗くや机の上の古草紙
芝不器男【現代語訳】ヤモリが壁を叩くような音が静かに聞こえてくる。ふと手元を見ると、机の上には古い草紙が置かれたままである。 【鑑賞】夜のしじまの中で、微かなヤモリの音が古びた草紙の質感や、ひっそりとした書斎の空気感を際立たせています。時が止まったかのような静寂と、そこに響く微小な生命の鼓動が対比された名句です。
守宮搗くや厨の隅のくらがりより
飯田蛇笏【現代語訳】台所の隅の、薄暗い闇の奥から、ヤモリが壁をコツコツと叩くような音が聞こえてくる。 【鑑賞】生活の場である台所の、そのさらに奥にある「暗がり」という限定された空間から聞こえる守宮の音。家屋が持つ独特の気配と、夜の不気味でありながらもどこか親しみ深い雰囲気が見事に描き出されています。
守宮搗くや襖のうしろ夜の風
日野草城【現代語訳】部屋の中でヤモリが壁を叩く音がしている。そのすぐ近くの襖の向こう側からは、静かに流れる夜の風の気配が感じられる。 【鑑賞】襖一枚を隔てた屋外の闇や、そこを吹き抜ける涼しい夜の風。ヤモリの音を起点にして、閉ざされた室内から広大な外の世界へと意識が自然に広がっていく、空間的な奥行きを感じさせる作品です。

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