俳

1644年 - 1694年

松尾芭蕉

まつおばしょう

作風・特徴

「さび」を核とした幽玄・孤高の境地。自然と人間の深い交わりを、余白と暗示によって表現する。写生に留まらず精神の奥底まで掘り下げる「俳諧の道」を生涯追求した。

生涯・略歴

伊賀国(現・三重県)生まれ。日本俳句の頂点に立つ「俳聖」。俳諧を連歌の余興から独立した芸術へと高め、「さび」「しをり」「細み」の美意識を確立した。弟子曽良とともに東北・北陸を旅した紀行文『おくのほそ道』は、俳句と散文が融合した文学の傑作として国内外で広く読み継がれている。蕉門十哲と呼ばれる優れた弟子を育て、その後の俳壇に絶大な影響を与え続けた。

代表句 (20件)

古池や蛙飛びこむ水の音
季語: 蛙 (spring)
出典:『春の日』(1686年)
紫陽花や帷子時の薄浅黄
季語: 紫陽花 (summer)
出典:『芭蕉句集』
ひやひやと壁をふまえて昼寝哉
季語: 昼寝 (summer)
出典:『笈日記』
草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな
季語: 蛍 (summer)
出典:『芭蕉句集』
夏草や兵どもが夢の跡
季語: 夏草 (summer)
出典:『奥の細道』
閑さや岩にしみ入る蝉の声
季語: 蟬 (summer)
出典:『おくのほそ道』
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声
季語: 蟬 (summer)
出典:『笈の小文』
朝顔に我は飯食ふ男哉
季語: 朝顔 (autumn)
出典:『芭蕉庵小文庫』
荒海や佐渡によこたふ天河
季語: 天の川 (autumn)
出典:『おくのほそ道』
雲の峰幾つ崩れて月の山
季語: 入道雲 (summer)
出典:『おくのほそ道』
花の雲鐘は上野か浅草か
季語: 桜 (spring)
出典:『続虚栗』(1687年)
春雨や蜂の巢傳ふ屋根の洩
春雨や尙しをれたる破れ座具
春雨の木下に傳ふしづく哉
うかれける人や初瀨の山櫻
着ても見よ甚兵衞が羽折花衣
春風に吹出し笑ふ花もがな
草履の尻をりて歸らん山櫻
留守といふ小僧なぶらん山櫻
とし〳〵や櫻をこやす花の塵