水蘭
summer 地理

水蘭

みずらん・すいらん

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意味・由来

「水蘭(みずらん・すいらん)」は、夏の水辺や湿地帯に美しく咲く、ラン科の多年草「サワラン(沢蘭)」の別名、あるいはミツガシワ科の水生植物「アサザ(浅沙)」の別名を指す季語です。泥深い水底から茎を伸ばし、水面に可憐な花を咲かせる姿は、古来より清らかさの象徴として愛されてきました。夏の強い日差しの中で、水辺に涼風を呼び込むような清涼感と、凛とした気品を併せ持つ魅力的な季語です。

この季語で詠むコツ

水蘭を主役にする際は、その「咲く場所」である水や泥、湿原の環境を丁寧に描写することが大切です。単に花が美しいと詠むだけでなく、澄んだ水の冷たさ、水面の細かな揺れ、花に反射する光など、五感(特に視覚や触覚)に働きかける言葉を添えると効果的です。また、はかない美しさの裏にある、自然の中で力強く生きる生命力に着目すると、句の奥行きが増します。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水の動きや状態を表す言葉(「澄む」「揺るる」「瀬音」「水面」「底」など)
  • 光や影を表現する言葉(「木漏れ日」「きらめく」「影静か」「日差し」など)
  • 清涼感を演出する言葉(「涼風」「早朝」「雫」「青葉」など)

水蘭」の俳句例 (3件)

水蘭のいづこに咲くや水の奥
正岡子規【現代語訳】水蘭の花は、この澄み切った水の底の、いったいどのあたりに咲いているのだろうか。【鑑賞】透明度の高い水の中に咲く(あるいは水辺に潜む)水蘭の、どこか神秘的で容易には近づけない美しさを詠んだ一句です。「水の奥」という表現が、夏の水辺のひんやりとした静けさと深みを感じさせます。
水蘭の黄なるが上に日はありぬ
高浜虚子【現代語訳】水面に咲き広がる黄色い水蘭(アサザ)の花の上に、夏の明るい太陽の光がさんさんと降り注いでいる。【鑑賞】水蘭を黄色い花を咲かせるアサザとして捉えた句です。鮮やかな「黄」と、降り注ぐ「日」の光のコントラストが実に健康的で、夏の生命力あふれる一瞬をシンプルかつダイナミックに切り取っています。
水蘭や日に日にのびる池の草
正岡子規【現代語訳】水面には可憐な水蘭が咲いている。その周りでは、夏の旺盛な生命力を得て、池の草が毎日ぐんぐんと伸びていくのが見える。【鑑賞】ひっそりと咲く水蘭の静的な美しさと、周囲の草木が日に日に成長していく動的な力強さとの対比が鮮やかです。夏の水辺の生き生きとした景観が、平易な言葉で瑞々しく表現されています。

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