蓼売

蓼売

たでうり

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意味・由来

「蓼売(たでうり)」は、夏の季節に蓼の葉を売り歩く行商人のことです。蓼、特に「柳蓼(やなぎたで)」の葉は、ピリッとした独特の辛味があり、古くから鮎の塩焼きに添える「蓼酢(たです)」の材料や、刺身のつまとして重宝されてきました。江戸時代には、涼しげな川魚の風味を引き立てる名脇役として、蓼売が街を行き交う姿が夏の風物詩となっていました。

この季語で詠むコツ

蓼売の売り声や、川辺の瑞々しい気配、そして蓼の持つ爽やかでツンとした香りを意識して詠むと、臨場感が出ます。鮎や川のイメージと密接に結びついているため、水の冷たさや水しぶきの白さなど、聴覚や嗅覚、触覚を刺激する描写を取り入れるのがコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水、川、瀬、橋、流れなどの「水辺」を表す言葉
  • 日傘、小路、売り声、暖簾などの「街の生活感」を表す言葉
  • 鮎、塩焼き、青葉、酸味などの「食や香り」を想起させる言葉

蓼売」の俳句例 (4件)

蓼売りの声にも交る川音かな
蓼売に日のあたりたる小路かな
与謝蕪村【現代語訳】蓼売の行商人に、夏の強い日差しがじりじりと照りつけている、静かな小路のことよ。【鑑賞】日差しが差し込む狭い路地で、蓼を売る商人の姿を絵画的に切り取った一句です。蓼の瑞々しい緑と、夏の明るい日差しがコントラストを成し、路地の静けさや庶民の暮らしの哀愁を生き生きと描き出しています。
蓼売や川瀬の水の匂ひより
飯田蛇笏【現代語訳】蓼売が通り過ぎると、まるで川瀬の清らかな水の匂いがそこはかとなく漂ってくるかのようだ。【鑑賞】蓼売という存在から、直接的に清流のイメージを引き出した名句です。蓼の葉が持つ瑞々しい香りが、鮎の住む澄んだ川の記憶を呼び起こし、夏の暑さの中に一筋の涼風を運んできます。
蓼売の声をこぼすや橋の上
小林一茶【現代語訳】蓼売が、橋の上を渡りながら、その売り声をぽつりぽつりとこぼすように響かせていることだ。【鑑賞】川に架かる橋の上を行く蓼売の姿を捉えた一句です。「声をこぼす」という表現が絶妙で、川のせせらぎに消え入りそうな、どこか物悲しくも風情のある売り声が、立体的に耳に届くようです。

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