巣立鳥

巣立鳥

すだちどり

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意味・由来

「巣立鳥(すだちどり)」とは、春に生まれた鳥の雛が十分に成長し、初めて自らの翼で巣から飛び立つ様子、あるいはその鳥自身を指す季語です。主に晩春の時期に用いられます。親鳥の温かい庇護から離れ、自立して大空へと羽ばたく姿は、健気でありながらも力強い生命の輝きを感じさせます。

この季語で詠むコツ

単に「鳥が飛んだ」という客観的な事実だけでなく、巣立つ直前の緊迫感や、巣の縁で細かく羽を震わせてためらう様子、あるいは飛び去った後に残された静かな「古巣」の佇まいなど、時間の前後に焦点を当てると深みが増します。人間の子供の自立や旅立ちの姿を投影させながらも、まずは鳥の微細な動作や鳴き声を写生することを意識するとよいでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空間・自然:「梢(こずえ)」「大空」「若葉」「朝光(あさかげ)」
  • 動作・心情:「ためらう」「風にのる」「こぼるる」「うながす」
  • 音や視覚:「羽音」「ひとこえ」「またたく」

巣立鳥」の俳句例 (4件)

松杉をこぼれて落ちし巣立鳥
巣立鳥梢を去るに躊躇へり
川端茅舎【現代語訳】巣立ちを迎えた鳥が、これまで過ごした木の梢からいよいよ大空へと飛び立とうとする瞬間、名残惜しそうに、あるいは少しの不安からか、飛び立つのを躊躇している。 【鑑賞】巣立ちという輝かしい旅立ちの裏にある、幼い鳥の心の葛藤や一瞬の不安を「躊躇へり(ためらえり)」という言葉で繊細に写し取っています。自然界の小さき命への温かいまなざしが感じられる名句です。
巣立鳥母より高きところにゐる
富安風生【現代語訳】巣立ったばかりの若鳥が、見守る母鳥よりもさらに高い枝にとまっている。 【鑑賞】親鳥よりも高い位置に止まる若鳥の姿に、自立の誇らしさと急激な成長の逞しさが象徴されています。人間社会の親子の姿にも重なり、頼もしさと一抹の寂しさが入り混じる奥深い一瞬を捉えています。
巣立鳥雲にひびきて鳴きにけり
水原秋桜子【現代語訳】巣立ったばかりの鳥が、大空に向かって力強く鳴いた。その鋭く澄んだ声は、遥か彼方の雲にまで響き渡るかのようだ。 【鑑賞】若々しく勢いのある鳥の鳴き声が、どこまでも広がる春の青空と白い雲に吸い込まれていくような、聴覚と視覚の広がりが見事な一句です。新しい世界へ踏み出した命の、前途洋々たる未来を祝福しています。

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