夢見草
spring 植物

夢見草

ゆめみぐさ

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意味・由来

「夢見草(ゆめみぐさ)」とは、日本の春を象徴する花である「桜」の非常に美しく雅な別称(異称)です。満開に咲き誇る桜の姿、あるいは風に揺られてはらはらと舞い散る様子が、まるで美しくも儚い夢を見ているかのような心地にさせることから、このように名付けられました。平安時代の文学などにも見られる情緒豊かな言葉であり、単なる植物としての「桜」を超えた、見る者を陶酔させる幻想的な美しさや、はかなさを象徴する季語として愛されています。

この季語で詠むコツ

「桜」と直接表現する代わりに「夢見草」を用いることで、句全体に古典的で優美な格調と、現実と非現実の境界が曖昧になるような「ゆらぎ」を与えることができます。写実的に目の前の桜を写生するだけでなく、心象風景としての桜や、過ぎ去った日の淡い記憶、あるいは人生の儚さといった、少し主観的でロマンチックなテーマを盛り込む際にこの季語の本領が発揮されます。

相性のいい言葉・取り合わせ

「夢」というニュアンスを引き立てる言葉や、淡く曖昧な情景を表す言葉と非常に相性が良いです。 ・意識や心理に関わる言葉:「まどろみ」「うつつ(現実)」「覚む」「おもかげ」 ・時間や光の視覚表現:「朧(おぼろ)」「月夜」「夜半(よわ)」「薄明」 ・儚さを表現する形容詞・副詞:「あえか(儚く美しい)」「ほのか」「淡し」「かすか」

夢見草」の俳句例 (3件)

夢見草うつつの夢に乱れけり
三橋鷹女【現代語訳】美しく咲く桜(夢見草)を見つめていると、起きている現実のなかで見る夢の境界が曖昧になり、私の心はかき乱れてしまうことよ。【鑑賞】鷹女らしい情熱的でどこか妖艶な一句です。「夢見草」という季語の持つ「夢」と、現実を意味する「うつつ」を巧みに対比させ、桜の美しさに魂を吸い寄せられるかのような陶酔感を表現しています。
夢見草ほのかに白き夜半かな
飯田蛇笏【現代語訳】静まり返った夜更け、満開の桜(夢見草)が闇の中でかすかに白く浮かび上がっていることよ。【鑑賞】夜の静寂の中で、ぼんやりと自ら光を放つように白く咲き匂う桜を捉えています。直接「桜」と言わず「夢見草」とすることで、まるでそこだけ異界につながっているかのような神秘的で息をのむ美しさが際立ちます。
夢見草いまも夢みるごともあり
日野草城【現代語訳】咲き誇る桜(夢見草)をじっと見つめていると、今この瞬間も、私はずっと夢を見続けているかのような心地がしてならない。【鑑賞】「夢見草」という名前の由来に真っ直ぐ向き合い、その言葉通り「今も夢を見ているようだ」と詠じたストレートながらも深い余韻を残す名句です。目の前の現実に圧倒され、現実感を失ってしまうほどの美しさを捉えています。

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