近き夏
spring 時候

近き夏

ちかきなつ

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意味・由来\n「近き夏(ちかきなつ)」は、春の終わりである晩春に分類される季語です。暦の上ではまもなく立夏を迎えるという時期に、日増しに強くなる陽射しや、青葉を吹き抜ける風のなかに、確かな夏の気配を感じ取る心の動きを表しています。単に「もうすぐ夏だ」という時間の経過だけでなく、生命力に満ちた季節の到来を心待ちにする、どこか弾むような気持ちや、季節の移り変わりに対する繊細なアンテナが込められた季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\nまだ春の優しさが残るなかに、ふと見つかる「夏らしさ」の兆しを切り取るのがコツです。例えば、急にまぶしく感じられた木漏れ日、衣替えの準備、あるいは冷たい飲み物が欲しくなる瞬間など、日常のなかの小さな変化に「近き夏」を対比させてみましょう。主観的な期待感をあまり説明的にせず、具体的なモノや風景に託すことで、読者にも「あぁ、もうすぐ夏が来るのだな」という予感を共有することができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n生命の息吹や光、風を感じさせる言葉と好相性です。「青葉」「風の音」「朝の光」「白いシャツ」「麦畑」など、視覚や触覚を刺激する言葉と取り合わせることで、近き夏のまばゆさや清々しさが引き立ちます。

近き夏」の俳句例 (3件)

夏近うそのつれづれを薬のむ
与謝蕪村【現代語訳】夏が間近に迫っている。何となく手持ち無沙汰で退屈な気分(つれづれ)を紛らわすように、体調を整える薬を読んでいることだ。【鑑賞】蕪村らしい繊細な心身の揺らぎを詠んだ一句です。季節の変わり目である晩春の、だるさや手持ち無沙汰な感覚を「薬を飲む」という具体的な行為で表現しています。来たるべき夏への予感と、現在の静かな時間が対比されています。
夏近うなりて青むや桑の葉も
炭太祇【現代語訳】夏が近づいてきて、桑の葉も生き生きとした青みを増してきたことよ。【鑑賞】江戸中期の俳人、炭太祇の作。養蚕に欠かせない桑の葉が、夏の光を浴びて急速に緑を深めていく様子を捉えています。視覚的な「青む」という変化を通じて、目に見えない「近き夏」という時間の流れを鮮やかに描き出しています。
夏近き雨にぬれつつ種を蒔く
正岡子規【現代語訳】夏が間近に迫った温かい春の雨に濡れながら、畑に種を蒔いている。【鑑賞】雨はしとしとと降る春の雨ですが、どこか夏の力強い生命力を予感させる温かさを持っています。その雨に濡れることを厭わず、これからの成長を信じて種を蒔く姿には、季節の移り変わりに対する前向きで健やかな生命力が溢れています。

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