棕梠の聖日
spring 時候

棕梠の聖日

しゅろのせいじつ

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意味・由来

「棕梠の聖日(しゅろのせいじつ)」は、キリスト教の典礼暦における「枝の主日(パーム・サンデー)」を指す仲春の季語です。復活祭(イースター)の一週間前の日曜日にあたり、イエス・キリストが十字架にかけられる直前、ロバに乗って聖都エルサレムに入城した際、群衆が棕櫚(実際にはナツメヤシ)の枝を手に持って歓呼して迎えたという聖書の記述に由来します。日本の教会ではナツメヤシの代わりに「棕櫚」の葉が用いられ、十字架に編まれた葉が信徒に配られます。これから始まる「受難週」への厳かな心の準備の日でもあります。

この季語で詠むコツ

この季語は、春の暖かな光の中に漂う「静寂」や「聖性」を表現するのに適しています。キリスト教の儀式そのものを客観的に叙写するだけでなく、春の光や風といった自然の息吹、あるいは十字架に編まれた棕櫚の緑の瑞々しさなどに焦点を当てると、説得力のある句になります。また、聖堂のオルガンの音、人々の祈りの表情など、聴覚や触覚に訴えかける描写を取り入れるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 光や色彩を表す言葉(「陽のひかり」「青空」「淡き緑」「白き」など)
  • 教会や礼拝を想起させる名詞(「聖歌」「オルガン」「礼拝堂」「鐘の音」「十字架」など)
  • 植物や自然の風景(「オリーブ」「風の音」「春の海」など)

棕梠の聖日」の俳句例 (3件)

棕梠の聖日ひかりのなかの棕梠の木に
桂信子【現代語訳】今日は棕櫚の聖日である。教会の庭の、きらめく春の光の中にすっとして立つ、あの棕櫚の木に向けて、祈りの心が静かに注がれている。【鑑賞】「棕梠の聖日」という季語の由来となった棕櫚の木そのものに、あえて光を当てて詠んだ一句です。春の暖かな陽光を浴びてそびえ立つ棕櫚の木は、どこか聖性を帯びて見えます。「棕梠の聖日」と「棕梠の木」という言葉の重なりが、リズミカルでありながら荘厳な祈りの空間を生み出しています。
棕梠の聖日オルガンを弾く指の骨
大野林火【現代語訳】棕櫚の聖日の朝、聖歌の伴奏のためにオルガンを弾く、その人の指の骨の動きが、厳かな光の中で白く浮き立って見える。【鑑賞】聖堂に響き渡るパイプオルガンの音色とともに、熱心に鍵盤を叩く奏者の「指の骨」に焦点を当てた、写実的かつ精神性の高い一句です。聖なる日の美しさの中に、肉体を持つ人間の祈りの真摯さと、生のはかなさが静かに表現されています。
棕梠の聖日海へ傾くオリーブ園
有馬朗人【現代語訳】棕櫚の聖日の今日、春の海に向かってなだらかに傾斜するオリーブの園は、まばゆい光に満ちあふれている。【鑑賞】キリストのエルサレム入城とオリーブ山での出来さを連想させる「オリーブ」を、棕櫚の聖日と巧みに取り合わせた知的な名句です。明るい春の海と、銀緑色に輝くオリーブの葉が織りなす風景は、まるで聖書の一場面のような光に満ち、祝祭日の喜びを美しく描き出しています。

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