血貝
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血貝

ちがい

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意味・由来

「血貝(ちがい)」とは、春の海辺で採れる「赤貝(あかがい)」やその近縁種の別名です。貝殻を開けると、人間の血液と同じようにヘモグロビンを含む赤い体液が滴ることからこの名が付けられました。その鮮烈な赤さは、春の豊かな海の恵みと生命力の象徴であり、古くから潮干狩りの収穫物として、また春の味覚として親しまれてきました。視覚的に非常にインパクトのある季語です。

この季語で詠むコツ

「血貝」が持つ生々しい「赤さ」や「命の滴り」をどのように表現するかがポイントです。単にグロテスクに描くのではなく、春のうららかな陽気、白い砂浜、澄んだ潮風といった美しい背景と対比させることで、その赤さが一際引き立ちます。また、貝を掘る、剥くといった人間の動作(手元や刃先のクローズアップ)と取り合わせることで、生活感や臨場感あふれる句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩を強調する言葉: 赤、白砂、潮、刃先、指、手のひら
  • 海や季節を感じさせる言葉: 春の海、干潟、潮干狩、汐、波頭
  • 生命感や動きを表す言葉: むく、滴る、こぼるる、掘る、洗う

血貝」の俳句例 (3件)

血貝むく手もとにこぼるる潮かな
飯田蛇笏【現代語訳】血貝を剥いている手元に、貝から溢れ出た赤い潮がぽたぽたとこぼれ落ちていることよ。【鑑賞】蛇笏らしい冷徹なまでに正確な写生眼が光る一句です。血貝を剥くという日常の静かな作業の中に、滴る赤い液(潮)の動的な生命感を凝縮して表現しています。春の海の生命力が、剥く手元という極めて狭い空間に鮮やかに描き出されています。
血貝得て帰り来し手のあかきこと
日野草城【現代語訳】潮干狩りで血貝をたくさん採って帰ってきたが、その自分の手が貝の汁で赤く染まっていることよ。【鑑賞】春の潮干狩りの楽しさと、自然の生き物と直接触れ合った充実感が伝わってくる句です。「あかきこと」という素直な詠嘆には、自らの身体に刻まれた生命の痕跡に対する、新鮮な驚きと愛着が込められています。
血貝むく刃先の濡れてあかきかな
富安風生【現代語訳】血貝の殻を剥く小刀の刃先が、その赤い体液で濡れて赤く染まっていることだなあ。【鑑賞】貝を剥く道具である「刃先」に視点を絞り込むことで、冷たく鋭い金属の質感と、血貝の持つ温かく生々しい赤さとの対比を際立たせています。「濡れてあかき」という描写には、春の瑞々しさと同時に、どこか妖艶で緊迫した美しさが漂っています。

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