花ぎぼし

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はなぎぼし

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意味・由来

「花ぎぼし(花擬宝珠)」は、山野の湿地や木陰などに自生する多年草、ギボウシ(擬宝珠)に咲く花のことです。夏の盛りから晩夏にかけて、すらりと伸びた花茎の先に、薄紫や白色の涼しげな花をうつむき加減に咲かせます。名前の由来は、蕾(つぼみ)の形が、橋の欄干の柱頭を飾る「擬宝珠(ぎぼし)」に似ていることから名付けられました。日陰を好み、みずみずしい大きな葉の間から楚々として咲く姿は、日本の夏の庭園や山路に静かな涼感を添えてくれます。

この季語で詠むコツ

花ぎぼしは、夏の強烈な太陽の下よりも、日陰や雨の中、夕暮れ時などの「しっとりとした情緒」の中で本領を発揮する季語です。鮮やかな色合いではなく、淡い紫や白という控えめな色彩に着目し、その周囲にある「静けさ」や「湿り気」を一緒に描き出すと良いでしょう。また、大きく広がる青葉とのコントラストや、うつむきがちに咲く花の繊細な表情を写生するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や雨に関する言葉(雨しずく、水音、せせらぎ、夕立、苔むす) ・影や暗さを表す言葉(木陰、小庭、薄暗がり、夕暮れ、日陰) ・静寂や引き算の表現(ひっそりと、静か、古寺、佇む)

花ぎぼし」の俳句例 (4件)

ぎぼうしの花咲きそろひ雨となる
擬宝珠咲くやいづこも水の音
正岡子規【現代語訳】擬宝珠の花がひっそりと咲いている。その涼しげな佇まいに呼応するように、あたりのあちこちから清らかな水の音が聞こえてくることよ。 【鑑賞】薄紫の可憐な花を咲かせる擬宝珠の周辺に、目には見えねど清涼な水が流れている様子を「水の音」として捉えた名句です。聴覚と視覚が一体となり、夏の静けさと極上の涼感を醸し出しています。
ぎぼうしゅの雨にしだるる余生かな
久保田万太郎【現代語訳】しとしとと降る雨に濡れ、重たげにしだれている擬宝珠の花。その静かな姿は、まるで今の私のしめやかな余生のようであるなぁ。 【鑑賞】雨を吸ってうつむき加減に咲くぎぼうしの風情に、作者自身の晩年の心境(余生)を重ね合わせた主観的な一句です。派手さはありませんが、しみじみとした深い哀愁と気品が漂います。
擬宝珠咲いて水昏きところかな
飯田蛇笏【現代語訳】擬宝珠の花が静かに咲いている。その根元を流れる水は、木陰になっていて暗く淀んでいる場所なのだなあ。 【鑑賞】擬宝珠が好んで咲く、陽の当たらない湿り気のある場所を「水昏きところ」と表現しました。暗い水辺だからこそ、ぽっと浮かび上がるように咲く薄紫の花の白さが際立ち、神秘的で厳かな美しさを演出しています。

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