秋の暮

秋の暮

あきのくれ

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意味・由来

「秋の暮(あきのくれ)」は、秋の日の夕暮れ時を指す三秋の季語です。もともと和歌の世界では「秋の終わり(晩秋・暮秋)」を意味することもありましたが、俳諧以降は主に「秋の日の夕方・日暮れ」の情景や、その時間帯に漂う特有の寂寥感(もののあわれ)を表す季語として広く定着しました。急速につるべ落としで日が沈み、冷え込みが増してゆく中で感じるもの悲しさや静寂が、この季語の核心にあります。

この季語で詠むコツ

「秋の暮」それ自体に強い哀愁や寂しさが込められているため、句の中で「寂しい」「悲しい」と直接述べてしまうと説明的になりすぎてしまいます。夕暮れの光の移ろい、影の伸び方、ふと耳に入ってくる生活音、冷え始める空気の肌触りなど、具体的なモノや感覚を通して情景を描き出すのがコツです。静けさの中に立ち現れる孤独感や、日常の一瞬を切り取ることで、季語の情感を豊かに響かせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚や光を描く言葉:夕餉の煙、影法師、障子、灯、鴉(カラス)、遠山 ・聴覚や日常の音:鐘の音、下駄の音、遠い踏切、煮炊きの音 ・動作や心情を表す言葉:歩みをとめる、振り返る、飯を食う、佇む

秋の暮」の俳句例 (3件)

枯朶に烏のとまりけり秋の暮
松尾芭蕉【現代語訳】葉の落ち尽くした枯れ枝に、一羽のカラスがとまっている。あたり一面にもの寂しさが満ちる秋の夕暮れである。【鑑賞】芭蕉の代表作の一つであり、侘び寂びの境地を確立した名句です。墨絵のようなモノトーンの世界の中に、枯れ枝とカラスというシンプルな点景を置くことで、秋の暮の底深い静けさと絶対的な孤独感を鮮やかに描き出しています。
秋の暮仏のかほに灯のさして
与謝蕪村【現代語訳】秋の夕暮れ時、薄暗くなった堂内で灯明を灯すと、その柔らかな光が仏像の顔をほのかに照らし出した。【鑑賞】夕暮れの暗がりと、点された灯の明かりのコントラストが美しい絵画的な一句です。秋の夕暮れ特有の冷え入るような寂寥感の中で、灯に浮かび上がる仏の表情が、静謐さと温かみのある安らぎを同時に感じさせます。
寂しさにまた飯を食ふ秋の暮
村上鬼城【現代語訳】心に迫りくるやり場のない寂しさをごまかすように、自分はまた黙々とご飯を食べている。そんな秋の夕暮れである。【鑑賞】生活苦や耳の病など多くの苦難を抱えた鬼城ならではの、生活実感がにじむ人間味あふれる名句です。高尚ぶることなく、「寂しいから飯を食う」という日常の泥臭い仕草に託して、秋の暮のやるせない孤独感をリアルに表現しています。

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