九日平座
autumn 時候

九日平座

ここのかひらざ

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意味・由来

「九日平座(ここのかひらざ)」とは、陰暦九月九日の「重陽の節句(菊の節句)」の日に開かれる連歌や俳諧の座(句会)を指す季語です。古来、宮中や公家・武家では重陽の日に詩歌の宴が催されていましたが、それが連歌や俳諧の世界にも定着し、文人たちが集って菊の花を愛で、菊酒を酌み交わしながら作句に興じる年中行事となりました。「平座(ひらざ)」は特別な格式張った儀式ではなく、人々が車座になって穏やかに楽しむ座であることを意味しており、晩秋の風雅で和やかな文芸の集いを象徴しています。

この季語で詠むコツ

「九日平座」を詠む際は、句会そのものの厳かな中にも漂う親密な空気感や、重陽の節句ならではの秋の深まりを取り入れるのがコツです。連歌・俳諧の伝統を感じさせる「筆」「硯」「短冊」といった文房具の描写や、座敷に飾られた「菊の花」、宴で供される「菊酒」などの小道具を配することで、情景が鮮やかに立ち上がります。また、座の末席に座る謙虚な心情や、仲間と顔を合わせた時の懐かしさ・心地よい緊張感を詠み込むのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 植物・自然:白菊、黄菊、菊の香、秋晴れ、晩秋の暮色
  • 道具・設え:筆硯(ひっけん)、短冊、懐紙、床の間、翁の像(芭蕉像)
  • 飲食・行為:菊酒、車座、硯洗う、連衆(れんじゅう)、末席(まっせき)

九日平座」の俳句例 (3件)

水洟や九日平座の末の席
正岡子規【現代語訳】秋の寒さで思わず鼻水が出てしまうことだよ、この重陽の句会の末席に座っていると。 【鑑賞】重陽の節句の句会「九日平座」に参加した際の、いささか寒さを感じる晩秋の空気と、末席に控える自身の姿をユーモラスに写生した一句です。風流な文芸の座でありながら「水洟(みずばな)」という生々しい生活実感をぶつけることで、格式にとらわれない子規らしい人間味と秋の冷気が巧みに表現されています。
九日平座翁の像を前に置く
高浜虚子【現代語訳】重陽の句会を開くにあたり、俳聖・芭蕉翁の小像を床の間に据えて向き合っている。 【鑑賞】九日平座に集まった人々が、俳諧の祖である松尾芭蕉への敬意を胸に句座を始めようとしている厳かで心温まる場面を詠んでいます。菊の香が漂う秋の日に、先達を敬いながら仲間とともに五七五を紡ぎ出す俳壇のよき伝統と精神性が伝わってくる作品です。
九日平座菊の雫を筆に受く
河東碧梧桐【現代語訳】重陽の句会にて、供えられた菊の露雫を筆先に受けて墨を磨り、句を書き留めることだ。 【鑑賞】重陽の節句の風習である「菊の露」を、句会で用いる筆と優美に結びつけた情緒あふれる一句です。連歌・俳諧の座ならではの文雅な雰囲気が際立ち、菊のみずみずしい香りと秋の澄んだ空気が筆先を通して紙へと広がっていくような感覚を与えてくれます。

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