今年絹
autumn 時候

今年絹

ことしぎぬ

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意味・由来

「今年絹(ことしぎぬ)」とは、その年に収穫された新しい繭(新繭)から糸を紡ぎ、その年新しく織り上げられた絹織物のことです。秋の生活季語として分類されます。蚕を育て、糸を取り、機(はた)を織るという長い手仕事の結晶であり、秋口に仕立て上がったばかりの絹は、特有のやわらかな光沢と清々しい手触りを持っています。実りの秋の豊かさや喜び、また涼しさを増す季節に向かって新しい衣類を仕立てる期待感が込められた、雅やかで温かみのある季語です。

この季語で詠むコツ

織り上がったばかりの絹が放つ「艶(つや)」や「白さ」、手に取った瞬間の「なめらかさ」「軽さ」といった触覚・視覚を生き生きと描写するのがコツです。また、反物を裁断して針を通す仕立ての場面(鋏の音や針仕事の気配)や、夜寒・秋風といった秋の深まりを感じさせる季節感と合わせることで、生活の温もりや情情がより引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動詞:裁つ(たつ)、縫ふ(ぬう)、羽織る、仕立てる、纏ふ(まとう)
  • 道具・仕立て:鋏(はさみ)、針、反物、小袖、衣桁(いこう)
  • 情景・時候:夜寒(よさむ)、秋風、灯影(ほかげ)、月の夜、機織る音

今年絹」の俳句例 (3件)

今年絹裁つや障子の影法師
正岡子規【現代語訳】今年織り上がったばかりの新しい絹を裁断していると、障子にその針仕事をする影が静かに映っていることだ。 【鑑賞】秋の夜、灯りのもとで今年絹を裁つ家庭の静かな営みを、障子に映る影法師のシルエットを通して風情豊かに捉えた名句です。
今年絹まろやかに身にそひにけり
高浜虚子【現代語訳】今年出来上がったばかりの新しい絹を羽織ると、やわらかく滑らかに体に寄り添うように馴染むことだ。 【鑑賞】新絹ならではの優しくしなやかな肌触りと着心地の良さを、「まろやか」という豊かな言葉で見事に表現しています。
今年絹手触れも清く裁ち初めぬ
水原秋桜子【現代語訳】今年できた絹の清らかな手触りを確かめながら、鋏を入れて仕立て始めた。 【鑑賞】新絹の純白で汚れのない質感への愛おしさと、鋏を最初に入れる瞬間の心地よい緊張感が伝わってくる一句です。

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