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「霞網(かすみあみ)」は、秋の季語(三秋)です。渡り鳥などの小鳥を捕獲するために、山野の通り道や樹間に張り渡す、極めて細い糸で編んだ目の細かい網を指します。遠くから見ると、まるで薄い霧や「霞」が立ち込めているように見え、鳥がその存在に気づかずに飛び込んで引っかかることからこの名が付きました。かつては秋の風物詩であり、実用的な狩猟法として親しまれていましたが、野生鳥獣保護の観点から、現在では法律(鳥獣保護管理法)により一般の使用や所持が原則として禁止されています。そのため、現代の俳句においては、過去の里山の情景へのノスタルジーや、自然と人間との関わりの歴史を象徴する、哀愁を帯びた季語となっています。
霞網は「目に見えにくい罠」であり、そこには「命のやり取り」という緊張感と、「秋の寂寥感」が同居しています。詠む際のコツは、網そのものの構造を細かく説明するのではなく、網を取り巻く環境(冷たい山風、遮られる光、夕暮れの早さ)や、鳥の微細な動き(羽ばたき、すり抜ける影)、人間の気配などを対比させることです。現在では見かけることの少なくなった光景だからこそ、記憶の中の映像を呼び起こすように、静寂や張り詰めた空気を写生することがポイントとなります。
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