心の霧
autumn 天文

心の霧

こころのきり

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意味・由来

「心の霧(こころのきり)」とは、秋の季語である「霧」に人間の内面的な心情を重ね合わせた情緒的な季語です。秋の深まりとともに立ち込める霧のように、晴れやがらない憂鬱、迷い、悲しみ、あるいは割り切れない思いなど、心の中が曇って見通しが利かない状態を表現します。自然現象としての霧の持つ幻想的でどこか物悲しい風情と、人の心の奥底にある揺らぎが響き合い、深みのある情景を生み出します。

この季語で詠むコツ

「心の霧」という言葉自体に強い感情が含まれているため、さらに感情を表す言葉(「悲しい」「つらい」など)を重ねてしまうと説明的で重苦しくなってしまいます。コツは、具体的な物や風景、日常の些細な動作と取り合わせることです。例えば、冷え込む朝の光、温かいお茶の湯気、遠くの街灯の滲みなど、視覚的・触覚的な描写を置くことで、心の揺らぎを自然に浮かび上がらせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光や影(「朝日子」「街灯」「影法師」「薄明かり」など) ・動作や日常の物(「眼鏡拭く」「歩みをとめる」「珈琲の香」「駅のホーム」など) ・秋の自然(「野仏」「露」「枯葉」「冷気」など)

心の霧」の俳句例 (3件)

晴れやらぬ心の霧や今朝の秋
服部嵐雪【現代語訳】暦の上では清々しい秋の朝を迎えたというのに、私の心にかかる霧はいまだ晴れやらずにいることだ。【鑑賞】立秋の澄み切った大気と、自らの晴れない心の内を対比させた名句です。季節の移ろいに取り残されたような憂いが、秋の訪れの感覚をより際立たせています。
心の霧いつ晴るるべき星月夜
正岡子規【現代語訳】満天の星が月のように明るく輝く秋の夜空を見上げながら、私の心の霧は一体いつ晴れるのだろうかと思う。【鑑賞】病床にあって輝く秋の星空を見上げる子規の、切実な苦悩と憧憬が込められています。美しく冴え渡る天景と、晴れることのない心の霧の対比が鮮やかです。
霧ふかき心にともす灯を恋ふる
水原秋桜子【現代語訳】霧が深く立ち込めるようなこの心の中に、ぽっと明かりを灯してくれる存在を恋しく想っている。【鑑賞】霧の立ち込める秋の寂寥感と、孤独な心に寄り添う温もりを求める心情が、繊細で美しい調べに乗せて詠まれています。

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