桂の花
autumn 植物

桂の花

かつらのはな

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意味・由来

秋の季語としての「桂の花(かつらのはな)」は、現代の植物分類における春咲きのカツラ(カツラ科)の花ではなく、主に中国の伝説に由来する言葉です。中国では「桂」は木犀(キンモクセイやギンモクセイなど)を指し、秋に芳しく咲くその花を「桂花」と呼びました。また、古くから「月の中には高さ五百丈の桂の木が生えている」というロマンチックな伝説(月中桂)があり、日本の俳句においては、この天上の月にある桂の木に咲く花、あるいはそれが散る様子を指して使われることが多くあります。秋の澄み切った月光の美しさや、どこからともなく漂う秋の香りを、天上の伝説と結びつけた優雅な季語です。

この季語で詠むコツ

「桂の花」を詠む際は、目の前にある具体的な花を描写するよりも、夜空に浮かぶ「月」や「月光」と取り合わせ、幻想的な世界観を構築するのがコツです。目に見えない天上の花を想うことで、句に深い精神性やロマンティシズム、あるいは古典的な雅びやかさを与えることができます。物理的な存在感ではなく、光や風、香りといった五感に訴えかける表現と組み合わせると、この季語の持つ神秘的な魅力が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 月、月光、夜空、天空、星影
  • 香(か)、匂う、風、影
  • 散る、こぼれる、仰ぐ、遥か

桂の花」の俳句例 (3件)

折らで見る月に桂の花散るか
加賀千代女【現代語訳】手で折り取ることなく、ただ見上げるだけの美しい月に、今、伝説の桂の花が散っているのだろうか。だからこれほど月光が美しく、香るように感じられるのだろうか。 【鑑賞】月に生えているという伝説の桂の木を思い浮かべ、秋の澄み切った月光を散りゆく花に見立てた、ロマンチックで繊細な感性が光る名句です。
身にしむや月に桂の花の散る
大島蓼太【現代語訳】秋の夜風が身にしみる。あの美しい月からは、今頃、伝説の桂の花がしめやかに散っているのだろうか。 【鑑賞】「身にしむ」という秋の寂寥感を表す季語と、月中の桂の花という幻想的なイメージを重ね合わせています。冷ややかな月光を、視覚的・触覚的に捉えた深い味わいのある一句です。
高々に月や桂の花の散る
高井几董【現代語訳】遥か高い夜空にぽっかりと浮かぶ月よ。あの高みから、今まさに桂の花がはらはらと散りこぼれているかのようだ。 【鑑賞】「高々に」という言葉が、秋の夜空の無限の奥行きと、天上の月に対する憧れを強調しています。地上からは届かない遥かなる月世界への空想が、静かに、そしてダイナミックに広がっていく名句です。

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