三秋

三秋

さんしゅう

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意味・由来

「三秋(さんしゅう)」とは、陰暦の秋の三か月、すなわち初秋(七月・孟秋)、仲秋(八月・仲秋)、晩秋(九月・季秋)を合わせた秋の全期間(およそ九十日間)を指す季語です。また、これら三つの秋それぞれの情趣を含んだ言葉でもあります。古代中国の詩文に由来し、漢詩では「一日会わざれば三秋の如し(一日会わないと三秋もの長い時間に感じられる)」という慣用句でも知られています。俳句においては、秋の始まりから深まり、そして去りゆく季節の移ろいや、秋という季節全体の持つ寂寥感・風情を大きくとらえる際に用いられます。

この季語で詠むコツ

「三秋」は特定の短い瞬間やピンポイントの事象ではなく、秋という広がりや時間の経過を包括する大きな言葉です。そのため、狭い身の回りのことだけを詠むよりも、時間的な長さ(旅の長さ、歳月の感慨、病臥の長さなど)や、空間的な広がり(山河、天候、空の青さなど)と響き合わせると効果的です。言葉自体に漢語らしい格調と静けさがあるため、落ち着いた調べを意識すると季語の持つ深みが引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・時間・旅情を表す言葉:「旅路」「夜長」「歳月」「夢」「日和」 ・天候・自然の広がりを表す言葉:「雲」「風」「雨」「空」「青野」 ・心境を表す言葉:「寂し」「静けし」「澄む」「遥か」

三秋」の俳句例 (3件)

三秋の夢さめて淋しき枕かな
正岡子規【現代語訳】秋の三か月のあいだに見続けてきた夢からふと目覚めると、枕元にはただ深い寂しさが漂っていることだ。 【鑑賞】病床にあった子規が、秋全体の時間の長さと、目覚めた瞬間の孤独感を対比させて詠んだ句です。「三秋」という言葉が持つ時間の厚みが、目覚めたあとの一層の寂寥感を際立たせています。
三秋の星澄む夜を一人居て
阿部みどり女【現代語訳】秋の全天に星が清らかに澄みわたる夜、私はただ一人静かに過ごしている。 【鑑賞】秋の澄み切った大気の中にまたたく星々を見上げながら、独り静かに自己と向き合う時間を捉えています。「三秋」という大らかな季語が、澄んだ星空の壮大さと個人の静けさを美しく調和させています。
三秋の雨しとどに降るや庭の草
高浜虚子【現代語訳】秋の深まりとともに降る雨がびっしょりと降り注ぎ、庭の草を濡らしている。 【鑑賞】初秋から晩秋へと移り変わる秋の雨情景を写生した一句。「しとど」という濡れそぼる様子と「三秋」の持つ静かな風情が合わさり、秋の冷気と草木の哀愁がしみじみと伝わってきます。

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