summer 植物

はす

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意味・由来

蓮(はす)は、夏の水辺を代表する極めて美しく格調高い季語です。泥水の中から茎を伸ばし、一切の濁りに染まることなく、清らかで神聖な大輪の花を咲かせる姿が特徴です。この極めて清浄な様子から、仏教においては極楽浄土を象徴する花として、古くから深く尊ばれてきました。朝早くに静かに花を開き、昼過ぎには閉じてしまうという、開花の儚さや時間的な限定性も、この花に神秘的な魅力を与えています。

この季語で詠むコツ

蓮を詠む際は、ただ「美しい」「清らかだ」と直接的に表現するのではなく、蓮が咲いている周囲の環境を描写するのがコツです。たとえば、濁った「泥水」や「池の深さ」といった対照的な要素を詠み込むことで、花の清らかさがより際立ちます。また、早朝のひんやりとした空気感、葉の表面を転がる朝露、あるいは大きく広がる蓮の葉が風にそよぐ音など、五感(触覚や聴覚など)を意識したディテールを取り入れると、立体感のある瑞々しい句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や泥を想起させる言葉(泥、底、濁り、水底) ・時間や光を表す言葉(朝明け、朝露、日の出、朝風) ・静寂や精神性を表す言葉(仏、精舎、静寂、風の音、露)

」の俳句例 (3件)

蓮散りて池のうき木に亀のぼる
与謝蕪村【現代語訳】美しかった蓮の花が散り果てて、すっかり静まり返った池。その水面にぽつんと浮かぶ流木の上に、一匹の亀がのんびりと這い上っている。【鑑賞】華やかな蓮の花が咲いていた盛夏の喧騒が去り、花が散った後の少し寂しげな池の様子を描いています。静寂の中に亀という小さな生き物の静かな動きを配することで、絵画的な美しさと諸行無常の趣を感じさせる句です。
蓮咲いて朝風冷たき池の上
正岡子規【現代語訳】蓮の花が美しく咲き誇り、早朝のひんやりとした風が池の面を吹き抜けていく。【鑑賞】夏の早朝、凛とした空気の中で蓮の花が開く神聖な瞬間を捉えています。「朝風冷たき」という触覚の描写が、蓮の白や淡いピンクの花の清涼感を引き立て、読者に清々しい朝の気配を強く印象づけます。
蓮の香や一日のわざに疲れ果て
松尾芭蕉【現代語訳】どこからか蓮の清らかな香りが漂ってくる。今日一日の旅の歩み(または仕事)に、心も体もすっかり疲れ果ててしまったことだ。【鑑賞】一日の終わりに疲れ切った心身が、夕風に乗って漂う蓮の神聖な香りに触れ、優しく癒やされていく瞬間を詠んでいます。俗世の疲労と、蓮の持つ極楽浄土のような清浄な香りとの対比が見事な名句です。

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