皐月雨

皐月雨

さみだれ

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意味・由来\n「皐月雨(さみだれ/五月雨)」は、旧暦の5月(現在の6月頃、まさに梅雨の時期)に降る長雨を指す夏の季語です。「さ」は田植えの神や農耕そのものを意味し、「みだれ」は「水垂れ」が変化したものとされ、元々は田植えに必要な恵みの雨という意味合いを持っていました。しかし、古今和歌集の時代からは、どこか物憂げで寂しげな長雨の情景として歌われることが多くなりました。\n\n### この季語で詠むコツ\n皐月雨を詠む際は、単なる「雨の日の景色」として描くのではなく、降り続く雨によってもたらされる「時間の経過」や「湿り気」、あるいは「自然のダイナミズム」に注目することが大切です。しとしとと静かに万物を潤す雨としての「静」の側面と、川を増水させるような激しい雨としての「動」の側面、どちらを切り取るかによって句の個性が際立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n* 水や流れに関する言葉: 大河、急流、濁流、軒の雫、水たまり\n* 室内の情景や静けさ: 畳、古書、灯火、障子、宿、昼寝\n* 植物や自然: 青葉、若葉、苔、紫陽花、煙る山々

皐月雨」の俳句例 (3件)

五月雨や上野の山も見えぬ日よ
正岡子規【現代語訳】激しい五月雨が一日中降り続いている。普段なら間近に見えるはずの上野の山(寛永寺の森)も、今日は雨の煙に巻かれてまったく見えないことだ。【鑑賞】子規が病床の部屋から眺めた(あるいは想像した)明治の東京の雨景色です。見慣れた日常の風景が、降り続く雨の白さによって完全に遮断されてしまう様子を、主観を交えずに「写生」の手法でありのままに捉えています。静寂と一抹の寂しさが漂う近代的な作品です。
五月雨をあつめて早し最上川
松尾芭蕉【現代語訳】降り続く五月雨をすべて集めて流れているかのように、最上川の流れはなんと早くて凄まじいことだろう。【鑑賞】『おくのほそ道』に収録されたあまりにも有名な一句です。当初は「涼し」と詠まれていましたが、実際に最上川の急流を下る命がけの体験をした後に「早し」へと推敲され、五月雨の水量が生む圧倒的なダイナミズムと大自然の驚異を表現した名句となりました。
五月雨や大河を前に家二軒
与謝蕪村【現代語訳】五月雨が降り続いて水かさが増した大河。その轟々と流れる濁流のすぐ目の前に、ぽつんと二軒の民家が並んで建っている。【鑑賞】絵師としても高名だった蕪村ならではの、卓越した構図美が光る一句です。荒れ狂う大自然のダイナミックさと、それにへばりつくように暮らす人間の営みの小ささ・儚さが鮮やかに対比されており、まるで一幅の中国山水画を見るような緊迫感と詩情に満ちています。

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