かわず
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春の田んぼに水が張られるころ、どこからともなく聞こえてくる蛙の声。冬眠から目覚めた蛙たちは雌を呼ぶために鳴き続け、その声は昼も夜も絶えない。のどかでありながら、どこかせつない春の音です。
「かわず」はもともと、清流に棲むカジカガエルのことを指す言葉でした。その澄んだ鳴き声は万葉集の時代から歌人に愛され、「水に住む蛙の声を聞けば」と古今和歌集の仮名序にも記されるほど、日本人の感性に深く根づいてきました。平安時代を経るにつれて「かわず」という言葉は一般の蛙全体を指すようになり、そのまま俳句の季語として引き継がれています。
俳句では「かえる」と読ませると夏の季語になることもありますが、「かわず」と詠む場合は三春(旧暦1〜3月)の季語として扱われます。冬眠から覚めて鳴き始める生命力こそが、春の蛙の本質だからです。
松尾芭蕉の「古池や蛙飛込む水のおと」はあまりにも有名ですが、この句が革命的だったのは、古来「鳴くもの」とされてきた蛙を「飛び込む音」で詠んだ点にあります。和歌・連歌の型を破った一句として、1686年(貞享3年)に刊行された『蛙合』で最高位を占めました。
蛙鳴く
自転車止めし
川の土手
蛙跳ね
月の雫を
揺らしけり
蛙見ゆ
春の小川の
玻璃の底
蛙鳴く
夕べの水に
星ひとつ
蛙ゐて
水のひかりの
やはらかし
蛙跳ね
月の雫を
揺らしけり
蛙見ゆ
春の小川の
玻璃の底
蛙ゐて
水のひかりの
やはらかし
蛙鳴く
夕べの水に
星ひとつ
蛙鳴く
自転車止めし
川の土手