和布
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わかめ

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意味・由来

「和布(わかめ)」は、春の海辺の恵みを代表する海藻であり、古くから日本人の暮らしや食生活に深く結びついてきました。万葉集の時代には「にぎめ」とも呼ばれ、春になると若葉が急速に成長して収穫期を迎えます。引き揚げられたばかりの和布は、つややかな褐色(お湯を通すと一瞬で鮮やかな緑色に変わる特徴があります)をしており、豊かで濃厚な磯の香りを放ちます。春の穏やかな海と、そこに生きる人々の営みを象徴する大変歴史の古い季語です。

この季語で詠むコツ

和布を詠む際は、その「みずみずしさ」や「色・香り」といった五感を意識することが大切です。海から引き揚げられて浜辺に干されている様子や、食卓の潮汁や酢の物として並ぶ日常の情景など、どの場面を切り取るかによって句の表情が変わります。伝統的な「和布刈(めかり)」という海辺の労働や神事のダイナミックさを詠むのも魅力的ですが、初心者はまず、身近な食材としての親しみやすさや、春の明るい光の中に置かれた和布の色彩感に注目すると、素直で瑞々しい句が生まれやすくなります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩や感覚を表す言葉:「青し」「濡るる」「磯の香」「潮風」
  • 生活や食卓の言葉:「汁(しる)」「一椀」「箸(はし)」「干し竿」
  • 景色の広がりを表す言葉:「引潮(ひきしお)」「砂浜」「松の風」「波口」

和布」の俳句例 (3件)

海はれて風少しある和布かな
松尾芭蕉【現代語訳】海はすっきりと晴れ渡り、心地よい風が少し吹いている。そんな穏やかな春の波間に、和布が気持ちよさそうに揺れていることだ。【鑑賞】春ののどかな海の情景と、水中でゆったりと揺れる和布のみずみずしさが、極めてシンプルかつ軽妙な言葉で表現されています。「少しある風」が波を揺らし、和布の美しさを引き立てています。
和布干すや女のうしろ松の風
飯田蛇笏【現代語訳】浜辺で和布を干している女性がいる。そのすぐ後ろにある松林からは、心地よい春の風が吹き抜けてゆく。【鑑賞】春の海辺で行われる和布干しの日常風景を絵画的に切り取った一句です。和布の放つ濃密な磯の香りと、松林を吹き抜ける爽やかな風の対比が、立体的な空間の広がりを感じさせます。
潮ひて和布刈る磯の広さかな
正岡子規【現代語訳】潮が引いて、和布を刈り取るための岩場が目の前いっぱいに広く現れていることだ。【鑑賞】春の干潮時に現れる広大な磯のスケールを伸び伸びと詠んだ句です。潮が引いたことで人々が一斉に和布を刈る活気ある情景と、自然のダイナミックな営みが「磯の広さかな」という素直な感嘆に込められています。

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