明智風呂
summer 天文

明智風呂

あけちぶろ

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意味・由来

「明智風呂(あけちぶろ)」は、夏の季語です。安土桃山時代の武将・明智光秀の菩提を弔うために、京都の妙心寺などに建立された浴室(蒸し風呂)のことを指します。特に妙心寺の浴室(重要文化財)は、天正15年(1587年)に光秀の叔父である密宗和尚が、光秀の追善供養のために創建したと伝えられています。当時の風呂は浴槽に湯を張るものではなく、蒸気で体を温める「蒸し風呂(現代のサウナに近いもの)」でした。歴史の哀愁を秘めた古寺の静寂や、風呂上がりの涼風とともに詠まれることが多い季語です。

この季語で詠むコツ

明智風呂は、光秀の悲劇的な生涯や、歴史のロマンを感じさせる重厚な季語です。単に「お風呂」として詠むのではなく、古寺のひんやりとした空気、周囲の青葉や苔の美しさ、蒸し風呂の熱気とそこから一歩出たときの心地よい涼風とのコントラストを意識して詠むと効果的です。歴史的な背景への追慕や、静寂な寺の佇まいを想起させる言葉と取り合わせるのがポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 自然・植物:青梅、青嵐(あおあらし)、山颪(やまおろし)、松の風、蝉、苔
  • 風景・五感:古寺、夕暮れ、煙、涼し、熱し、暗がり、石畳

明智風呂」の俳句例 (3件)

青梅に明智風呂吹く山颪
飯田蛇笏【現代語訳】青い梅の実が実る頃、明智風呂のある古寺に、山から冷たい風(山下ろし)が吹き抜けていく。 【鑑賞】飯田蛇笏による名句。初夏の瑞々しい「青梅」と、光秀の悲哀を象徴する「明智風呂」、そして山から吹き下ろす鋭い「山颪」の取り合わせが、引き締まった静寂と歴史の寂寥感を鮮やかに描き出しています。
明智風呂いまも煙を吐くごとし
阿波野青畝【現代語訳】あの明智風呂からは、今もなお、光秀を弔う蒸し風呂の煙(湯気)が立ち上っているかのようだ。 【鑑賞】阿波野青畝の作品。現在は使われていない妙心寺の明智風呂の前に立ち、往時の蒸気や歴史の熱気がありありと立ち上ってくるような錯覚を覚えた瞬間を、写実的かつ幻想的に詠み上げています。
明智風呂下りて涼しき松の風
後藤夜半【現代語訳】明智風呂から上がって外へ出ると、松の枝を揺らす風がなんと涼しく心地よいことだろう。 【鑑賞】後藤夜半の句。蒸し風呂(明智風呂)の熱気の中に身を置いた後、外に出て感じる「松の風」の清涼感を素直に詠んでいます。熱気と涼風の対比とともに、古寺の清々しい境内の様子が伝わってきます。

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