鍋破
winter 生活

鍋破

なべこわし

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意味・由来

「鍋破(なべこわし)」とは、主に北海道や東北地方で「トゲカジカ」という魚を指す冬の季語です。そのあまりの美味しさに、皆が競って箸で突っつくため「鍋を壊してしまう(底を破ってしまう)」というのがこのユニークな名前の由来です。トゲカジカはごつごつとした岩のような不気味な顔をしていますが、白身で脂が乗り、肝も含めて非常に濃厚な出汁が出るため、冬の「カジカ汁」は格別の味わいです。

この季語で詠むコツ

名前のインパクトが強いため、ただ珍しい言葉として使うだけでなく、「不格好だけど美味」というギャップや、北国の厳しい冬の暮らし、家族が温かい鍋を囲む賑やかな様子を具体的に描くことがポイントです。魚としての荒々しい姿(大きな口や鋭いトゲ)に注目するのも良いですし、ぐつぐつと煮える音や湯気、温かい部屋の雰囲気と組み合わせることで、冬の叙情が深まります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 調理や食事の情景:「煮る」「湯気」「箸」「大口」
  • 北国の厳しい気候:「吹雪」「雪明かり」「ストーブ」「凍つ」
  • 団欒や心理:「囲む」「つつく」「温し」「笑ふ」

鍋破」の俳句例 (3件)

鍋破のまなこにさはる雪の針
加藤楸邨【現代語訳】鍋破(トゲカジカ)のぎょろりとした大きな目に、外から吹き込む雪のひとひらが針のように当たっている。【鑑賞】鍋破の異名を持つトゲカジカは、そのユーモラスでやや不気味な容貌が特徴です。楸邨はこの魚の生命力に満ちた鋭い眼差しに注目し、激しく降る厳しい冬の雪の冷たさと鋭さを、魚の目を通して見事に表現しています。
鍋破の面魂を割りて煮る
石原八束【現代語訳】鍋破(トゲカジカ)の恐ろしげで風格のある顔を、真っ二つに叩き割って豪快に鍋で煮る。【鑑賞】鍋破の持つ「面魂(つらだましい)」、つまりごつごつとした荒々しい表情を、手際よく調理する様子を描いています。厳しい北国の冬の食文化と、生き物の命をいただくという荒々しくも力強い生活感が伝わってくる一句です。
なべこわし煮てゐる遠き吹雪かな
山口青邨【現代語訳】鍋を壊すほど美味いという魚「なべこわし」をコトコトと煮ている。その家の外では、遠くから吹雪の音が聞こえてくる。【鑑賞】「なべこわし」というユニークな魚の名前から漂う温かみのある北国の鍋料理の情景と、外の厳しい「吹雪」という寒さの対比が鮮やかです。家の中の温もりと美味しそうな匂いが、より一層引き立つ名作です。

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