? - ?

石原八束

いしはらやつか

作風・特徴

作風の解説はまだ登録されていません。

代表句 (5件)

鍋破の面魂を割りて煮る
季語: 鍋破 (winter)
【現代語訳】鍋破(トゲカジカ)の恐ろしげで風格のある顔を、真っ二つに叩き割って豪快に鍋で煮る。【鑑賞】鍋破の持つ「面魂(つらだましい)」、つまりごつごつとした荒々しい表情を、手際よく調理する様子を描いています。厳しい北国の冬の食文化と、生き物の命をいただくという荒々しくも力強い生活感が伝わってくる一句です。
ねぶた過ぎて夜の海鳴りつのるなり
季語: 組みねぶた (autumn)
【現代語訳】ねぶたの賑やかな行列が通り過ぎてしまうと、残された夜の静寂の中に海の鳴る音が次第に強く響いてくる。 【鑑賞】華やかで騒々しい祭りの山車が去った後の寂寥感と、津軽の海から届く波音を対比させ、季節が確実に秋へと移ろう切なさを詠んでいます。
秋小寒一ト日の光尽きんとす
季語: 秋小寒 (autumn)
【現代語訳】秋の寒さが身に染みる中、今日一日の光が今まさに沈み尽きようとしている。 【鑑賞】夕暮れとともに急速に冷え込んでいく秋の黄昏を詠んだ句です。光が消えゆく時間への惜別の思いと、忍び寄る夜の冷気が「秋小寒」の言葉によって重厚に響き合っています。
背黒鶺鴒飛んで川幅定まれり
季語: 背黒鶺鴒 (autumn)
【現代語訳】背黒鶺鴒が一羽さっと飛び渡ったことで、この川の幅の広さがくっきりと定まったように感じられる。【鑑賞】背黒鶺鴒の飛翔という動的な一点によって、眼前の川の広がりと空間全体の静けさが際立つ瞬間を捉えています。秋の澄み切った大気と川面の静寂が見事に響き合う一句です。
天涯花咲き満ちて世はしづかなり
季語: 天涯花 (autumn)
【現代語訳】天涯花(曼珠沙華)があたり一面に咲き乱れており、この世は深く静まり返っていることだ。【鑑賞】句集名にも『天涯花』を冠した作者による代表的な一句です。燃え盛るように咲き誇る天涯花の鮮烈な赤と、対比される世界の静けさが見事な調和を見せています。現世と異界の狭間にいるかのような深い静寂と、生の根底にある孤独感を漂わせる名句です。