腰蒲団
winter 生活

腰蒲団

こしぶとん

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意味・由来

「腰蒲団(こしぶとん)」とは、冬の防寒具の一種で、腰や背中の冷えを防ぐためにあてる小さな蒲団や、腰に巻きつけるようにして用いる防寒用の綿入れのことを指します。かつて暖房設備が十分に整っていなかった時代、特に机に向かって読書や執筆をする文人や、寒さの中で作業をする人々にとって、腰回りを温める腰蒲団は冬の生活に欠かせない極めて実用的な生活道具でした。その素朴な温もりと、少し窮屈そうに身を縮める様子が、冬の季語としての独特の情緒を醸し出します。

この季語で詠むコツ

腰蒲団は「寒さを防ぐためのささやかな工夫」や「生活の知恵」を表す季語です。そのため、ただ「寒い」と詠むのではなく、腰蒲団をあてがう際の手触りや、あてた瞬間にじんわりと広がる温もり、またそれによって得られる安堵感など、五感に訴えかける具体的な描写を意識すると良いでしょう。また、机に向かう、病床から起き上がる、といった「静的な動作」と組み合わせることで、寒夜の静寂や、個人のパーソナルな空間の温かみがより引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 静的な動作・状態を表す言葉:「机に向かう」「書をよむ」「起き直る」「うづくまる」「夜半(よわ)」「夜深し」
  • 温もりや寒さを表す言葉:「じんわり」「底冷え」「背(せな)」「ともしび」「庵(いおり)」
  • 室内や生活の道具:「障子」「火鉢」「眼鏡」「机」

腰蒲団」の俳句例 (3件)

腰布団あてがふ夜半の寒さかな
野沢凡兆【現代語訳】夜中に一段と寒さが厳しくなってきたので、腰に小さな蒲団をあてがう。その動作の中にしみじみとした寒さが感じられることだ。【鑑賞】『猿蓑』に収められた凡兆の代表句。寒さのなかで身を縮め、腰蒲団をあてるという日常の何気ない動作を通して、冬の夜の底冷えする寒さを見事に表現しています。
腰蒲団あてて机にむかひけり
高浜虚子【現代語訳】腰に蒲団をあてがって、机に向かい仕事や読書に勤しんでいる。【鑑賞】虚子の句。暖房器具が乏しかった時代、机に向かう際の寒さ対策として腰蒲団は必需品でした。静かな寒夜に、執筆や読書に集中しようとする作者の引き締まった姿と温もりへの愛着が描かれています。
腰蒲団あてて起きたる病かな
正岡子規【現代語訳】腰に蒲団をしっかりとあてがって、病の床から起き上がっていることだ。【鑑賞】病身であった子規が、腰蒲団の温もりに助けられながら起き上がっている様子を詠んだ句です。寒さ厳しい冬の日に、少しでも体を温めて体力を保とうとする、病床のリアルな日常と生への執着が写生されています。

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