壺の口切
winter 生活

壺の口切

つぼのくちきり

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意味・由来

「壺の口切(つぼのくちきり)」、または単に「口切」とは、茶道において、初夏に摘んで茶壺に納めておいた新茶の封(口)を、十一月(立冬のころ)に初めて切り、客に供する茶事を指す冬の季語です。茶の湯の世界では、この口切が行われる時期を「お茶の正月」とも呼び、炉を開く「炉開き」とともに、最も格式高く華やかで、かつおめでたい節目の行事とされています。ひと夏を越して豊かに熟成した新茶の香りが、冬の訪れとともに茶室に広がります。

この季語で詠むコツ

茶室という限られた静寂の空間における、五感の動きを丁寧にすくい取ることが大切です。壺の封紙を切り開く瞬間の張り詰めた緊張感、おろしたての新茶が放つ芳醇な香り、茶釜の煮えるかすかな音、障子を通した冬の柔らかな光など、微細な変化を捉えることで、この季語が持つ上品で厳かな情緒を表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

茶席にちなんだ「炉(ろ)」「釜(かま)」「炭(すみ)」、あるいは茶室を取り囲む「庭(露地)」「落葉」「小春日和」などの言葉とよく調和します。また、「青畳」や「紙(封紙)」といった、新しく清々しい色彩を感じさせる言葉を合わせるのも効果的です。

壺の口切」の俳句例 (3件)

口切や畳の上の薄木葉
松尾芭蕉【現代語訳】口切の茶事が行われている厳かな茶室。ふと見ると、きれいに掃き清められた青畳の上に、外から風に吹かれて入ってきたのか、薄い木の葉がひらりと落ちている。 【鑑賞】張り詰めた静寂が漂う室内に、自然の「薄木葉」が一枚落ちていることで、厳かさの中に優雅な侘びが生まれています。茶室の外の冬の気配と、室内の清浄な空気が美しく調和した名句です。
口切や光をこぼす窓の隙
与謝蕪村【現代語訳】新茶の壺の口を切る、厳かな茶席。少し薄暗い茶室の小窓の隙間から、冬の美しい日差しがこぼれるように差し込んでいる。 【鑑賞】光と影を巧みに捉える蕪村らしい一句です。閉ざされた厳粛な空間に差し込む一筋の光が、口切の儀式の新鮮さと神聖さをより一層際立たせており、絵画的な美しさを湛えています。
口切や山もま近き小窓より
向井去来【現代語訳】口切の茶事を催しているこの茶室。小さな窓から外を眺めると、冬枯れの気配をまとった山がすぐ間近に迫っているように見える。 【鑑賞】静かでこぢんまりとした茶室の空間(小窓)と、その向こう側に広がる雄大な自然(山)との対比が見事です。窓を切り取ることで、外の厳しい冬の寒さと室内の温かみ、そして口切の清々しさが引き立っています。

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