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「菱(ひし)」は、池や沼、城の堀などの水面に群生する一年草の水生植物です。初夏から夏にかけて、鋸歯のある独特の三角形の葉を水面に放射状に広げ、まるで緑の敷物を広げたかのように水面を埋め尽くします。夏になると、葉のあいだから小さな白い可憐な花を咲かせます。秋に実る実は食用となり「菱の実」として秋の季語になりますが、植物そのものの生命力や水面を青々と覆う葉を指す「菱」は、夏の季語として親しまれています。
菱の葉が水面をびっしりと覆う様子や、水辺の静けさ、水底の見えない深さなどを捉えるのが詠む際のコツです。古池や濁り水、静まり返った堀割など、水辺の野趣あふれる風景とよく調和します。また、葉の青さだけでなく、水面にわずかに揺れる波紋や、水の上を渡る風の涼しさを感じさせる言葉と取り合わせると、夏の水辺の風情が鮮やかに立ち上がります。
・古池、沼、濠、水門、岸辺(水辺の情景を表す言葉) ・水影、水底、水面、波紋(水の表情を捉える言葉) ・青し、覆ふ、濁る、渡る風(菱の茂りや環境を描く言葉)