冬蝗
winter 時候

冬蝗

ふゆいなご

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意味・由来

「冬蝗(ふゆいなご)」は、秋を代表する昆虫である蝗が、冬になっても死に絶えずに生き残っている姿を指す季語です。寒さの中で体色は枯れ草と同じような茶褐色に変わり、動きも非常に緩慢になります。冷たい風に耐えながら、枯れ野や土の上でじっとしている姿には、哀れさと同時に、極限の状況でも生きようとする執念深い生命の輝きが感じられます。

この季語で詠むコツ

秋の蝗のように勢いよく飛び跳ねる姿ではなく、寒さのために「跳べない姿」や「這うような動き」を描写するのがポイントです。また、枯れ草や土の色と同化している様子を客観的にスケッチすることで、冬の景色の寂寥感と、そこにひっそりと存在する命の対比を鮮やかに表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 枯野、枯草、石、土などの乾燥した冬の自然の質感
  • 冬日、薄日、夕日などのかすかな光
  • 跳ねる、落ちる、潜むなどの小さく力ない動作表現

冬蝗」の俳句例 (3件)

冬蝗枯草の色得て居りぬ
渡辺水巴【現代語訳】冬の蝗が、すっかり枯れてしまった草と同じ茶褐色になって、そこにじっと潜んでいることよ。【鑑賞】枯草と同化することで寒さと外敵から身を守り、必死に生き延びようとする冬蝗の姿をありのままに捉えています。静寂の中に宿る強い生命力が感じられる写実的な名句です。
冬いなご地に落ちてより光りけり
詠み人知らず【現代語訳】冬の蝗が力尽きたように地面に落ちたが、その落ちてからの姿にかえってきらりとした光が感じられることだ。【鑑賞】一見すると衰退して死を待つだけの存在に見える冬蝗が、地面に落ちた瞬間に見せた、最後の輝きを捉えています。命の尊厳と美しさを象徴的に描き出した一句です。
日をのせてはねては落ちぬ冬蝗
篠原鳳作【現代語訳】冬のわずかな日差しを背中に浴びながら、冬の蝗が力なく跳ねては、またすぐに落ちるように着地している。【鑑賞】「はねては落ちぬ」という表現に、全盛期のような跳躍力を失った蝗の衰えと、それでも跳ばずにはいられない哀しい本能が凝縮されています。薄日を浴びる健気な姿が印象的です。

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