1906年 - 1936年

篠原鳳作

しのはらほうさく

作風・特徴

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生涯・略歴

篠原鳳作(しのはら ほうさく、1906年1月7日 - 1936年9月11日)は、日本の俳人。本名は篠原国堅(くにかた)。旧号は未踏、雲彦。

代表句 (6件)

下弦の月あかく出づれば人寝たり
季語: 下弦 (autumn)
【現代語訳】下弦の月が赤みを帯びて東の空に昇ってくる頃には、人々は皆すっかり寝静まってしまっている。 【鑑賞】深夜遅くに昇る下弦の月の特徴を捉えた一句。赤い月の不気味とも言える妖艶な美しさと、人間世界が寝静まった静寂との対比が、深い孤独感と幻想的な雰囲気を醸し出しています。
黒き芋虫傷へばかがやく秋の日や
季語: 黒いもむし (autumn)
【現代語訳】黒い芋虫がゆっくりと這っていくと、その背に秋のやわらかな日差しが当たり、きらきらと輝いていることよ。【鑑賞】黒という本来は光を吸収する色彩が、秋の澄んだ光を受けることで美しく輝き、小さな生命が神聖なものへと昇華される一瞬を優しく捉えています。
木の実拾ふてんてんとして皆遠し
季語: 木の実拾う (autumn)
【現代語訳】木の実を拾っている人々が、あちこちにぽつんぽつんと散らばっていて、みんな遠くに離れているように見えることよ。【鑑賞】広々とした秋の林や野原で、それぞれが夢中になって木の実を拾っている光景です。没頭するあまり、お互いの距離がいつの間にか離れ、静寂の中に「点(てんてん)」として存在する人間たちの孤独と、秋の澄んだ空気感が美しく表現されています。
日をのせてはねては落ちぬ冬蝗
季語: 冬蝗 (winter)
【現代語訳】冬のわずかな日差しを背中に浴びながら、冬の蝗が力なく跳ねては、またすぐに落ちるように着地している。【鑑賞】「はねては落ちぬ」という表現に、全盛期のような跳躍力を失った蝗の衰えと、それでも跳ばずにはいられない哀しい本能が凝縮されています。薄日を浴びる健気な姿が印象的です。
毒蛾飛ぶ沖のくらさに船迅し
季語: 毒蛾 (summer)
【現代語訳】船の灯火に引き寄せられて毒蛾が舞い飛んでいる。その外側に広がる沖合の圧倒的な暗闇の中を、船は速度を上げて進んでいく。 【鑑賞】夜の航海というロマンチックかつ緊張感のある場面です。ともしびに群がる毒蛾のせわしない動きと、広大で静まり返った漆黒の海、そして船のスピード感が一体となり、自然の大きさに対する人間の心理的な揺らぎを描き出しています。
鰹の烏帽子砂にまみれてなほ青き
季語: 鰹の烏帽子 (autumn)
【現代語訳】浜辺に打ち上げられ、砂にまみれてしまっている鰹の烏帽子だが、その青さは失われることなく、いっそう鮮やかに青く輝いている。 【鑑賞】砂という乾いた汚れの中にありながら、なお自らの持つ美しくも危険な青色を保ち続ける鰹の烏帽子の生命力、あるいは静かな存在感を切り取った名句です。