開帳
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かいちょう

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意味・由来

「開帳(かいちょう)」は、普段は固く扉が閉ざされている寺院の秘仏や本尊を、特定の期間だけ特別に公開して人々が参拝できるようにする仏教行事です。特に春に多く行われることから、春の季語となっています。江戸時代には、特定の寺院での「居開帳」だけでなく、他所へ仏像を出張させて公開する「出開帳」が盛んになり、現代の博覧会やイベントのような一大レジャーとして大変な賑わいを見せました。春のうららかな陽気と相まって、人々が浮き立つような明るさと、信仰の厳かさが同居する季語です。

この季語で詠むコツ

開帳を詠む際は、お堂の中の厳かな雰囲気と、お堂の外の春爛漫な景色との「対比」を意識すると効果的です。また、久方ぶりに姿を現した仏様の尊顔やその歴史を感じさせる様子をクローズアップして描くか、あるいは開帳に集まる群衆の活気や、道中ののどかな風景といった「周囲の様子」を描くかによって、句の個性が分かれます。五感(線香の香り、暗いお堂と外の光の明暗など)を刺激する表現を取り入れるのもおすすめです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 堂内の様子・五感:「煤(すす)」「金泥(こんでい)」「線香の煙」「うす暗き」
  • 参拝の様子:「人波」「賽銭」「数珠(じゅず)」「親子連れ」
  • 春の光景:「春風」「うららか」「桜」「青空」

開帳」の俳句例 (3件)

開帳に逢ふや雀も親子連
小林一茶【現代語訳】信濃の善光寺などの御開帳に巡り合ったのだろうか。人間たちに混ざって、雀たちまでもが仲良く親子連れで参拝に来ているようだ。 【鑑賞】一茶ならではの、小さな生き物に対する深い慈愛が感じられる名句です。開帳の賑やかでおめでたい雰囲気を、雀の親子という可愛らしい存在を通して、微笑ましく活き活きと描き出しています。
開帳や堂のうしろの杉の月
加舎白雄【現代語訳】御開帳が行われている賑やかなお堂の、そのすぐ背後には、高くそびえる杉の木々の間に美しい月が静かに昇っている。 【鑑賞】開帳の行事が行われているお堂の喧騒や華やかさと、お堂の後ろに広がる静寂な自然(杉と月)とのコントラストが実に見事です。俗なる賑わいと聖なる静けさが調和し、奥深い余韻を残します。
開帳の煤けて見ゆる仏かな
正岡子規【現代語訳】特別に扉が開かれて久々にお姿を現した仏様は、長い年月のせいか、ずいぶんと煤けて古びて見えることよ。 【鑑賞】開帳される秘仏を過度に神聖視するのではなく、長い時を経て「煤けている」というありのままの姿を写生的に捉えた句です。その煤け具合にこそ、かえって寺の歴史や人々の信仰の厚さが静かに滲み出ています。

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