燕の子
summer 動物

燕の子

つばめのこ

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意味・由来

「燕の子」は、初夏から夏にかけて、軒先などの巣の中で育つツバメの雛(ひな)を指す季語です。親鳥がせっせと餌を運び、巣から小さな黄色い嘴(くちばし)をいっぱいに広げてピーピーと鳴く姿は、古くから日本の夏の風物詩として親しまれてきました。親鳥の深い愛情や、生命の健気さ、そしてやがて訪れる巣立ちへの予感など、温かみと躍動感に満ちた季語です。

この季語で詠むコツ

燕の子を詠む際には、その「小ささ」「愛らしさ」「必死さ」を具体的に描写することが大切です。ただ「可愛い」と表現するのではなく、こぼれそうな巣の様子や、不揃いな鳴き声、黄色い口ばし、親を待つ健気な仕草など、微細な観察による具体的なスケッチを心がけると、読者に強い実感が伝わります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚的な言葉: 「黄色」「零る(こぼる)」「嘴(くちばし)」「ひしめく」「産毛」
  • 聴覚的な言葉: 「声のそろう」「かぼそき声」「にぎやか」
  • 生活の背景: 「軒下」「駅の梁」「街角」「雨だれ」「泥の巣」

燕の子」の俳句例 (3件)

燕の子一はこぼれて猶さわぐ
星野立子【現代語訳】ツバメの雛が一羽、巣からこぼれ落ちそうになりながらも、なおも賑やかに騒ぎ立てている。 【鑑賞】巣から落っこちそうになりながらも、餌をねだって元気に鳴き騒いでいる一羽の雛に焦点を当てた句です。「猶さわぐ」という表現から、雛の逞しさや無邪気さが生き生きと伝わり、周囲で見守る人間のハラハラしつつも微笑ましく思う気持ちが表現されています。
燕の子零れんばかり育ちけり
高浜虚子【現代語訳】ツバメの雛たちが、今にも巣からこぼれ落ちそうになるほど、丸々と元気に育っていることよ。 【鑑賞】ツバメの巣という限られた空間の中で、ひしめき合って育つ雛たちの旺盛な生命力を「零れんばかり」という言葉で見事に表現した名句です。親鳥が運ぶ餌をたくさん食べて成長した姿が、微笑ましくも力強く描かれています。
燕の子声のそろはぬ愛しさよ
水原秋桜子【現代語訳】ツバメの雛たちが鳴く声が、まだ幼いために揃わずばらばらに響くのが、なんとも愛らしいことよ。 【鑑賞】親鳥を求めていっせいに鳴き出す雛たちの、か細くも不揃いな声を捉えた優しい句です。「声のそろはぬ」という聴覚的な描写が、生まれたばかりの幼い生命の愛らしさと、それを温かく見守る作者の優しい眼差しを引き立てています。

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