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季語辞典
大野林火
俳
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大野林火
おおのりんか
作風・特徴
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代表句 (8件)
霧の帳下りてしまひし峡の秋
季語: 霧の帳 (autumn)
『【現代語訳】谷あいの地(峡)に、深い霧の帳がすっかり下りてしまい、すべてが白い世界に包まれた秋の静寂が広がっている。 【鑑賞】山深い峡谷に霧が立ち込め、視界が完全に遮られた様子を「帳が下りる」と表現しています。秋の深まりと、山里のひっそりとした冷たい静けさが伝わってきます。』
草の色づくや日は入りてなほ明るき
季語: 草の色づく (autumn)
『【現代語訳】草むらが秋の色に染まっている。太陽はすでに沈んでしまったが、空には夕映えが残り、まだあたりはほんのりと明るい。【鑑賞】日が沈んだ直後の薄明(トワイライト)の美しい光景を捉えています。色づいた草が、残光に照らされて微かに浮き立つような、静かでどこか寂しげな一瞬を切り取っています。』
雁行や暮れてまもなき星の数
季語: 雁行 (autumn)
『【現代語訳】雁が列をなして飛んでいく。日は暮れたばかりであるが、夜空にはもう数えきれないほどの星がまたたき始めている。【鑑賞】晩秋の澄み切った夜空へと移行する時間帯の美しさを捉えています。暗くなりゆく空を渡る雁の影と、それを見送るかのように瞬きだす満天の星々との対比が、静謐でロマンチックな世界を創り出しています。』
草鴫のたちしあとの濁り水
季語: 草鴫 (autumn)
『【現代語訳】草鴫が勢いよく飛び立ったあとの水辺には、濁った水だけがただ揺れている。【鑑賞】草鴫が泥深い水辺に隠れていたことを、飛び去ったあとの「濁り水」という即物的な描写で表現しています。鳥の気配が消えたあとに残る、秋特有の寒々しい寂寥感がリアルに伝わってくる句です。』
熊棚のありてうしろの山黒し
季語: 熊の栗棚 (autumn)
『【現代語訳】樹上に熊棚が残されているのが見える。その背後には、いっそう深く、黒々とそびえ立つ山の影が迫っている。【鑑賞】熊の気配を感じさせる「熊棚」の存在によって、背後にある山の「黒さ」が、単なる色ではなく深山の神秘性や冷たい緊張感として迫ってきます。山の恐ろしさと静寂を捉えた秀句です。』
鎌祝ひ灯に鎌の反りしづかなり
季語: 鎌祝ひ (autumn)
『【現代語訳】鎌祝いの夜、灯火に照らされた鎌の鋭い曲線が、静かに浮かび上がっている。 【鑑賞】無事に収穫を終え、役目を果たして磨かれた鎌が神棚や柱に掛けられている様子を捉えています。昼間の激しい労働とは対照的に、夜の静けさの中で光る鎌の鋭い刃先が、農作業の終わりと、張り詰めた糸が緩んだような安堵感を象徴的に表現しています。』
黒芋虫動かざる日のつづきけり
季語: 黒いもむし (autumn)
『【現代語訳】黒い芋虫がじっと動かないまま、何日も同じ場所にとどまり続けていることだ。【鑑賞】冬を前にして動かなくなった芋虫の静寂を詠んでいます。変化のない日々のなかに、秋の終わりと冬の到来、そして生命の静かな営みを感じさせる、深い寂寥感の漂う作品です。』
草槐掘るや日の入る方に風立ちて
季語: 草槐掘る (autumn)
『【現代語訳】草槐の根を黙々と掘り起こしていると、日が沈む西の方角から、いつの間にか冷たい秋風が吹き抜けていくことだ。【鑑賞】夕暮れ時の寂しい山野で、一人作業を続ける作者。西に傾く太陽と、肌に当たる風の冷たさが、労働の孤独感と秋の深まりを象徴的に描き出しています。』
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