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麦といえばパンや麺類、ビールの原料として馴染み深い穀物ですが、俳句において単に「麦」と詠む場合は、初夏から仲夏にかけて黄金色に実った麦、あるいはその収穫期の麦そのものを指し、夏の季語となります。稲が秋に実りを迎えるのに対して、麦は初夏に熟して収穫の時期を迎えるため、この季節は「麦秋(ばくしゅう)」とも呼ばれます。周囲の木々が青葉を茂らせる初夏の景色の中で、麦畑だけが一足早く黄金色に輝く光景は、古くから人々に豊かな季節の移ろいを感じさせてきました。
麦を詠む際には、その色彩の鮮やかさや、風を受けたときの動的な姿に注目するのがコツです。初夏の爽やかな青空と黄金色の畑の対比を描くだけでも美しい情景になります。また、麦の穂が波打つように揺れる風の音、熟した穂の乾いた感触や麦藁の匂いなど、五感を働かせて詠み込むと句に深みが生まれます。遠景として広大な畑の広がりを捉えるか、あるいは足元の一本の麦の穂に焦点を当てるか、視点の広げ方を意識してみましょう。
・光、日射し、青空(初夏の明るい空と黄金色の対比) ・風、波、うねり(麦畑が風に吹かれて揺れる様子) ・街道、遠山、農道(麦畑を取り巻く素朴な風景) ・刈る、鎌、束ねる(収穫に汗を流す人々の営み)