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「合鉢児(ごうはつじ)」は、初夏から盛夏にかけて鳴く小型の蝉である「ニイニイゼミ(蟪蛄)」を指す風雅な古称です。江戸時代の俳諧などで見られる味わい深い季語で、その姿が丸っこく、小さな鉢を伏せて合わせたような形に見えることからこの名がついたとされています。樹皮に擬態して見つけにくく、梅雨のころから「ジー」と低く独特な声で鳴き始め、本格的な夏の訪れを知らせてくれる親しみ深い蝉です。
「合鉢児」という古めかしくも愛嬌のある音の響きを活かして詠むのがポイントです。一般的な「蝉」や「にいにい蝉」と詠むよりも、どこか懐古的で静寂を帯びた雰囲気を醸し出すことができます。木肌にぺったりと張り付いている姿の慎ましさや、鬱蒼とした木立ちの陰、古びた庭の静けさなどに焦点を当てると情景が引き立ちます。騒がしい夏の真昼というよりは、木陰の涼しさや湿り気を帯びた空気感、古いお寺の佇まいなどを添えると風情が増します。
・古寺(ふるでら)、大樹(たいじゅ)、青苔(あおごけ) ・夏木立(なつこだち)、梅雨晴(つゆばれ)、昼深し(ひるふかし) ・土塀(どべい)、幹(みき)、木漏れ日(こもれび)