小鮒草
autumn 植物

小鮒草

こぶなぐさ

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意味・由来

小鮒草(こぶなぐさ)は、イネ科の一年草で、湿地や野道、水辺などに群生する植物です。葉の形が小さな鮒(フナ)の姿に似ていることからこの名が付けられました。秋になると紫褐色を帯びた細い花穂をつけます。また、古くから黄色の染料としても有名で、伊豆諸島の八丈島特産の絹織物「黄八丈」を染める原料(八丈刈安)としても広く知られています。野趣に富んだ素朴さと、染料としての伝統的な美しさを兼ね備えた秋の季語です。

この季語で詠むコツ

水辺や湿地にしっとりと生える姿や、葉が魚のように揺れる視覚的な面白さを捉えるのがポイントです。また、伝統工芸である黄八丈の染織文化や島情緒と結びつけて詠むのも趣があります。素朴な野草でありながら、染め色としての鮮やかな黄色を想起させることで、句に豊かな色彩感や情緒を宿らせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水・湿地・小川・畦道(自生する水辺の風景を描く言葉)
  • 黄八丈・刈安・染める・機織り(染料としての歴史や手仕事を連想させる言葉)
  • 朝露・夕日・秋風(素朴な野草の佇まいを際立たせる自然描写)

小鮒草」の俳句例 (3件)

小鮒草染めて八丈紬かな
松本たかし【現代語訳】小鮒草を染料として美しく染め上げられた、見事な八丈紬であることよ。 【鑑賞】小鮒草が名産品である黄八丈の原料となることに着目した句です。素朴な野草からあのような気品ある鮮やかな黄色が生まれる伝統美への敬意と、紬の手触りや温もりまでが伝わってくる格調高い一句です。
水の香のたちたる小鮒草の露
飯田蛇笏【現代語訳】小鮒草に結んだ朝露から、清らかな水そのものの香りが立ちのぼっているようだ。 【鑑賞】水辺に生える小鮒草のみずみずしい姿を、露と「水の香」という嗅覚的なアプローチで鮮やかに描いた句です。秋の澄んだ空気感と自然の清冽さが簡潔な言葉の中に凝縮されています。
小鮒草黄八丈を染むる島
阿波野青畝【現代語訳】小鮒草が茂り、それで黄八丈を美しく染め上げている八丈島の豊かな風情よ。 【鑑賞】島一面に広がる小鮒草の群生と、それを用いた島伝統の染色文化を雄大に捉えた句です。島の自然の恵みと人々の営みが一体となった秋の情感を、素直な筆致で表現しています。

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