胡桃割る
autumn 植物

胡桃割る

くるみわる

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意味・由来

胡桃割る(くるみわる)」は、秋に収穫された胡桃の非常に硬い殻を割る行為、またその作業を指す秋の季語です。胡桃は古くから日本の山野に自生しており、秋になると熟して実を落とします。その極めて頑丈な殻を、木槌や専用の道具などを使って力を込めて割る時の「コツン」という硬質な音や、殻を割った中から現れる脳のような複雑な形をした果肉は、人々に秋の深まりと静かな暮らしを実感させます。道具を使う手の感覚や、静寂な空間に響く音が魅力的な季語です。

この季語で詠むコツ

胡桃を割る」という具体的な動作には、「硬さ」「音」「力加減」といった五感を刺激する要素が詰まっています。この音を静寂の強調として使うか、あるいは殻を割る指先の力や、割れた瞬間の手ごたえといった触覚に焦点を当てるかが大きなポイントです。また、頑丈な殻の中に閉じ込められた空間や果肉に対して、人間の心の奥底にある孤独や秘密といった精神的な世界を重ね合わせて詠むのも非常に効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 音や光を表す言葉: 「音」「静か」「響く」「灯火(ともしび)」「小さき灯」など
  • 手元や道具に関する言葉: 「指先」「掌(てのひら)」「槌(つち)」「机の上」など
  • 時間や空間の言葉: 「夜長」「夜更け」「書斎」「庵(いおり)」「旅寝」など

胡桃割る」の俳句例 (3件)

胡桃割る胡桃のなかの昏き部屋
橋本多佳子【現代語訳】胡桃を割ると、その硬い殻の内側に、まるで光の届かない暗く静かな部屋があるかのようだ。【鑑賞】胡桃の殻を割った瞬間に現れる、複雑に入り組んだ内部の暗い空間を「昏き部屋」と表現した名句。物理的な空間の狭さと、そこに広がる精神的な深淵や孤独感が、見事に響き合っています。
胡桃割る一ト夜の宿の灯の小さ
芥川龍之介【現代語訳】旅先の一晩だけ身を寄せる宿で、小さなともしびの元、ぽつりぽつりと胡桃を割っている。【鑑賞】旅愁と寂寥感が漂う情緒豊かな一句です。「灯の小さ」という視覚的な心細さと、胡桃を割る硬質な音が、旅の夜の静けさと孤独をより一層引き立てています。
胡桃割る音のしづけき夜なりけり
久保田万太郎【現代語訳】胡桃をコツコツと割る音が、いかにも静かに響き渡る秋の夜であることよ。【鑑賞】万太郎らしい、日常の細やかな情景を切り取った句です。胡桃を割るというささやかな行為の音が、かえって周囲のしんとした静寂を際立たせ、更けゆく秋の夜の情感を深く味あわせてくれます。

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