常山木の花
autumn 植物

常山木の花

くさぎのはな

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意味・由来

「常山木(くさぎ)」は、シソ科の落葉小高木で、日当たりの良い山野や林の縁、道端などに自生します。葉を傷つけると独特の強い臭気があることから「臭木」の名がありますが、初秋に咲く花は対照的に、純白で非常に甘く上品な香りを漂わせます。星型に開く赤い萼(がく)から、細長い花筒が伸びて白い花弁が開く姿は可憐で、山野でひときわ目を引きます。俳句では、その姿の美しさと香りの良さを愛でて「常山木の花(くさぎのはな)」として秋の季語に分類されています。

この季語で詠むコツ

常山木の花を詠む際は、その「白さ」と「香り」、そして周囲の「静けさ」や「薄暗さ」との対比を意識すると効果的です。特に、山奥の谷間や夕暮れ時の道端など、少し寂しげな背景のなかにぽっと白く浮かび上がる花や、風に乗って不意に漂う甘い香りを捉えることで、初秋の情緒を深く表現することができます。葉の持つ野性味と、花の持つ清楚さのギャップに焦点を当てるのも面白いアプローチです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚・色彩:白、赤き萼(がく)、薄暗がり、夕づく、木漏れ日
  • 場所・景観:山路(やまじ)、谷底、石仏、野辺、坂、藪
  • 動作・状態:こぼるる、匂う、風に揺るる、咲き満ちる

常山木の花」の俳句例 (3件)

くさぎ咲く夕づく雲のうすあかり
飯田蛇笏【現代語訳】クサギの花が白く咲いている。夕方の雲が、かすかな光を帯びて空に残っている。【鑑賞】初秋の暮れなずむ空に、クサギの白い花と夕雲のほのかな明るさが静かに響き合っています。クサギの花の香りと、静かに更けゆく一日の情景が美しく表現された蛇笏の名句です。
臭木の花こぼるる谷の暗さかな
芥川龍之介【現代語訳】クサギの白い花がぽろぽろとこぼれ落ちている、その谷底の暗さよ。【鑑賞】白く甘い香りを放つクサギの花が散り落ちる様子と、日の差し込まない深い谷の暗さとのコントラストが鮮烈です。作者の繊細で少し退廃的な美意識が、自然の描写を通して見事に表現されています。
常山木の花ちりかかる仏かな
正岡子規【現代語訳】クサギの白い花が、道端の石仏に散りかかっていることだ。【鑑賞】野辺にひっそりと佇む石仏に、静かに咲いては散りゆくクサギの花が寄り添うようにかかっています。無常観と自然の優しさが同居する、写生を極めた子規らしい味わい深い一句です。

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