木練
autumn 植物

木練

こねり

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意味・由来

「木練(こねり)」とは、木の上で自然に熟して甘くなった柿、またはその熟柿のことを指します。特に渋柿が、寒暖差や時間の経過によって渋が抜け、とろりとした甘い熟柿になったものを指す言葉です。「木に練る(熟す)」という意味からこの名が生まれました。昔の人々にとって、木練は秋の深まりとともに得られる自然の極上の甘味であり、親しまれてきた秋の味覚です。

この季語で詠むコツ

「木練」を詠む際は、その「柔らかさ」「極限の甘さ」「色の深さ」、そして「脆さ(もろさ)」に着目するのがコツです。熟しきって今にも落ちそうな様子や、触れると潰れてしまいそうな繊細さを描写することで、実りの秋の豊かさと同時に、どこか寂しげな晩秋の情緒を表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

木練は非常に柔らかいため、落ちたときの「音」や「崩れる様子」を描写する動詞と相性が良いです。また、木に集まる「烏(からす)」や「雀」、熟した実を照らす「秋陽(秋の日差し)」、収穫の際に使われる「梯子(はしご)」、あるいは冷たい「秋風」といった季節感のある景物と合わせることで、深まりゆく秋の情景がより鮮明に描き出せます。

木練」の俳句例 (3件)

木ねり落つる音や嵐の夜半の底
与謝蕪村【現代語訳】激しい嵐が吹き荒れる夜更けの底で、木の上で熟しきった柿(木練)がぽとりと落ちる音が聞こえてくることだ。 【鑑賞】嵐の凄まじい風の音の合間に、熟しきって重くなった柿が力尽きて落ちる、その一瞬のわずかな音を鋭く捉えた一句です。動と静、激しさと繊細さの対比が見事な、蕪村らしい臨場感あふれる傑作です。
鳥のつついて落しし木ねりかな
正岡子規【現代語訳】鳥がつついて落としたのだろう、地面に熟した柿(木練)がぽつんと落ちていることよ。 【鑑賞】木から自然に落ちたのではなく、小鳥たちが甘い実を啄んだ拍子に落としてしまったという、日常のささやかな発見を写生した句です。地面に落ちた木練の柔らかさと、それを取り巻く鳥たちの賑やかな気配が、読者の脳裏に優しく浮かび上がります。
木ねりもぐ高き梯子や秋の空
正岡子規【現代語訳】木の上で熟した柿をもぎ取るために立てかけた、高い梯子の向こうに、どこまでも澄み渡った秋の空が広がっている。 【鑑賞】高い柿の木にしがみつくように立てかけられた梯子と、そのはるか上に広がる抜けるような青空。熟した柿の鮮やかな朱色と、秋空のコントラストが実に爽快です。高所での収穫作業の心地よい緊張感も伝わってきます。

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