十夜柿

十夜柿

じゅうやがき

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意味・由来

「十夜柿(じゅうやがき)」とは、浄土宗の法要である「十夜法要(お十夜)」のころに供えられたり、参詣客に振る舞われたりする柿のことです。旧暦十月五日から十五日(現在では十一月頃)にかけて行われるお十夜の時期は、ちょうど里の柿が完熟して甘みを極め、または渋柿の渋を抜いて美味しくなる頃にあたります。秋の深まりとともに肌寒さが増す中、寺の賑わいや念仏の声とともに親しまれた、季節感と人情味が豊かに詰まった季語です。

この季語で詠むコツ

「十夜柿」を詠む際は、単に柿の美味しさや形状を描くだけでなく、お十夜という行事が持つ「ほのぼのとした温もり」や「晩秋から初冬へ向かう寒さ・寂寥感」とのコントラストを意識するのがポイントです。熟してとろけるような柿の柔らかさや鮮やかな橙色を、寺院の仄暗い堂内、線香の匂い、木魚や念仏の音などと響き合わせることで、五感に訴える立体的な句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 寺社・行事に関する言葉(念仏、木魚、鐘の音、僧、本堂、門前、参詣)
  • 季節・感覚を表す言葉(夜寒、夕暮れ、冷え、熟る、とろりと、灯影)
  • 人の営み・情景(袖、手のひら、土産、語らい、帰り道)

十夜柿」の俳句例 (3件)

十夜柿たべつつ人の話きく
久保田万太郎【現代語訳】配られた十夜柿を食べながら、隣の人のとりとめのない話に耳を傾けている。 【鑑賞】飾らない平明な言葉で、市井の人々の温かなふれあいを切り取っています。柿の甘さに舌鼓を打ちながら聞く話は他愛もない世間話かもしれませんが、晩秋の寒さの中で交わされる人情の温かさがじんわりと胸に染みます。
十夜柿くふて夜寒の鐘をきく
正岡子規【現代語訳】お十夜の柿を食べながら、夜の寒さの中に響く寺の鐘の音をしみじみと聴いている。 【鑑賞】甘く熟れた十夜柿を味わう舌の感覚と、冷え込む夜気に鳴り響く鐘の音(聴覚)の対比が見事な一句です。病床にありながらも季節の風物を五感で捉え、晩秋の落ち着いた風情を的確に写し取っています。
十夜柿くづれて袖をよごしけり
鈴木花蓑【現代語訳】熟しきった十夜柿がぽろりと崩れてしまい、着物の袖を汚してしまった。 【鑑賞】十夜柿特有の柔らかく熟れた質感が、袖を汚してしまうという日常の些細なハプニングを通してありありと伝わってきます。困惑しつつもどこか長閑で微笑ましい、お十夜の参詣風景が目に浮かぶ名句です。

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