胡鬼の子
autumn 生活

胡鬼の子

こぎのこ

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意味・由来

「胡鬼の子(こぎのこ)」とは、ムクロジ科の落葉高木「無患子(むくろじ)」の果実のことです。秋になると黄褐色に熟し、中から非常に硬くて光沢のある黒い種子が現れます。この種子は、お正月の羽根突きの「追羽根(おいばね)」の黒い玉や数珠の材料として古くから使われてきました。「子どもが患うことが無いように」という無病息災の願いや、鬼を退散させる呪力があると信じられたことから「胡鬼(鬼のこと)の子」という独特な名で呼ばれるようになりました。

この季語で詠むコツ

秋の深まりとともに、高い木からコロンと音を立てて落ちてくる実の硬さ、質感、丸い形状に注目して描写するのがポイントです。寺社の境内や古びた庭に落ちていることが多いため、静寂や歴史を感じさせる情景とよく調和します。また、後の正月に羽根の玉として遊ばれる前の、自然の中でころがっている素朴な姿を捉えると、季語の持つ風情が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・場所・背景:境内、古寺、石段、苔、庭隅、木漏れ日 ・動作・状態:ころりと落ちる、跳ねる、拾う、掌(てのひら)、弾む ・感覚・情趣:乾いた音、夕暮れ、静けさ、秋澄む、風の音

胡鬼の子」の俳句例 (3件)

胡鬼の子や落ちてはねたる石の上
村上鬼城【現代語訳】胡鬼の子(無患子の実)が梢から石の上に落ちて、硬い音を立ててぽんと跳ねたことだ。 【鑑賞】無患子の実の硬さと弾力性を、「石の上で跳ねた」という一瞬の動きで見事に捉えた写生句です。乾いた高い音が静かな境内に響くような、秋の澄んだ空気感と実の硬質さが生き生きと伝わってきます。
胡鬼の子を拾ひて行けば日暮れたり
高浜虚子【現代語訳】地面に落ちている胡鬼の子を一つまた一つと夢中で拾い集めながら歩いているうちに、いつの間にか日が暮れてしまった。 【鑑賞】足元に落ちている小さな黒い実に童心にかえって夢中になっているうちに、秋の短い夕暮れが訪れた様子を素直に詠んでいます。のどかでどこか懐かしい時間の流れを感じさせる一句です。
胡鬼の子のころりと落ちぬ苔の上
正岡子規【現代語訳】胡鬼の子が、静まり返った庭の青々とした苔の上にころりと音を立てて落ちた。 【鑑賞】「ころり」という擬音によって、静寂の中に響く実の落ちる小さな音と実の丸さが鮮やかに表現されています。緑の苔と黒い実の色彩の対比も美しく、深まりゆく秋の庭の静けさが際立ちます。

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