九日節供
autumn 時候

九日節供

ここのかせっく

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意味・由来 「九日節供(ここのかせっく)」とは、陰暦九月九日の「重陽(ちょうよう)の節句」のことを指す秋の季語です。古代中国の陰陽思想において、奇数は縁起の良い「陽の数」とされ、その最大値である「九」が重なる九月九日を重陽として祝いました。この日には菊の花を浮かべた「菊酒」を飲んで長寿を祈り、菊に綿を被せて朝露を染み込ませた「着綿(きせわた)」で体を拭って無病息災を願う優雅な風習がありました。また、庶民の間では収穫への感謝を込めて秋祭りを行う地域も多く、「くんち」として親しまれています。 ### この季語で詠むコツ 宮中由来の雅やかで格式高い風情と、実りの秋を喜ぶ生活感の二つの側面を持っています。単に「重陽」とするよりも「九日節供」や「九日(ここのか)」と詠むことで、節目の日としての具体的な日付感や、深まりゆく秋の情感を際立たせることができます。菊の香りや澄んだ酒の味わい、色づく秋の風景など、五感を活かして静かな祝意や健康への願いを表現するのがコツです。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 「菊の酒」「菊の香」「杯」「茱萸(しゅゆ)」「綿」「秋晴」「夕暮れ」「老い」などの言葉と相性が抜群です。古風な雅味を持つ季語のため、落ち着いた静かな言葉遣いや、日常のささやかな慶びを取り合わせると句に深みが生まれます。

九日節供」の俳句例 (3件)

九日や雨よりほかの酒の客
宝井其角【現代語訳】重陽の節句だというのに訪ねてくる人もなく、ただ静かに降る雨の音だけが私の酒の相手であることだ。【鑑賞】節句の祝い酒を一人静かに楽しむ侘びしさと風流を描いた一句です。「雨よりほかの」という擬人化ともとれる表現により、しとしとと降る秋雨の音を友として酒を酌み交わす其角らしい洒脱な孤独感が伝わってきます。
菊折て九日近き机かな
服部嵐雪【現代語訳】庭の菊を手折って机の上に挿すと、もうすぐ九日の節供がやってくるのだとしみじみと感じられる。【鑑賞】書斎の机に菊を一輪生けた日常の静かな一コマから、季節の節目が迫っていることを実感する繊細な句です。清らかな菊の香りと、静かに節句を待つ落ち着いた心境が美しく調和しています。
九日や雨降る中の酒の味
正岡子規【現代語訳】今日は九日の節句である。外では冷たい秋の雨が降るなか、いただく菊酒の味は格別であることだ。【鑑賞】病床にあった子規が、節句の日に外の雨音を聞きながら酒を味わっている情景です。雨の冷気と酒の温もりの対比が鮮やかで、静けさの中に生きる実感が素直に詠み込まれています。

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