秋澄む

秋澄む

あきすむ

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意味・由来

「秋澄む」とは、秋になって大気の湿気や塵が減り、空気がきりりと澄み渡る様子を表す三秋の季語です。空の青さや遠くの山並みのくっきりとした輪郭はもちろんのこと、川や池の水の透明感、遠くまで響く音、さらにはそこに佇む人の心境に至るまで、世界全体が純度を増して清らかに感じられる秋独特の気配を包括的に表現します。古来、日本の美意識において秋は「澄む」季節と捉えられ、爽快さとともにどこか凛とした静寂を感じさせます。

この季語で詠むコツ

「秋澄む」という季語自体に強い叙情と透明感があるため、中七や下五には具体的で明瞭な輪郭を持つ事物を合わせると効果的です。遠くの景色(山脈や建造物など)が驚くほど明瞭に見える瞬間や、水・ガラス・光などの透明な素材、あるいは澄んだ空気の中で際立つ音(足音や楽器の音など)に着目してみましょう。大自然の雄大なパノラマだけでなく、机の上の小さな静けさなど、日常の細やかな情景ともよく響き合います。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚・光・物質:稜線、白壁、硝子(ガラス)、水面、影法師、石
  • 聴覚・静寂:鐘の音、靴音、琴、笛、静寂、一人
  • 動作・佇まい:見晴るかす、佇む、研ぐ、刻む、澄みきる

秋澄む」の俳句例 (3件)

秋澄むや白嶺を負へる信濃追分
水原秋桜子【現代語訳】秋の空気はどこまでも澄みわたり、信濃追分の宿場町は、雪をいただいた白い峰を背負うようにして美しく佇んでいる。 【鑑賞】信州の宿場町「信濃追分」から仰ぎ見る、冠雪した山々の凛とした美しさを詠んだ句です。「秋澄む」という季語によって、高原の冷涼で透き通った大気と、白嶺の鮮やかなコントラストが見事に立ち現れています。
秋澄むや石を刻みて石の粉
前田普羅【現代語訳】秋の澄みきった大気の中、石工が石を彫り刻んでおり、そのそばから白い石の粉が静かにこぼれ落ちている。 【鑑賞】石を刻む硬質な音と、澄んだ光の中に舞い落ちる白い石の粉。清澄な秋の日差しと静けさの中で、手仕事の一瞬一瞬が鮮烈に切り取られています。季語の持つ透明感が、石の粉の白さをいっそう引き立てています。
秋澄むや山気につづく湖のいろ
飯田蛇笏【現代語訳】秋の空気は澄みわたり、山から漂う清らかな気配がそのまま湖の深い青さへと溶け込んで続いている。 【鑑賞】山々の放つ厳かな霊気と、山裾に広がる湖の澄んだ水の色が一体となった景を捉えています。「秋澄む」という季語が、山から湖へと連なる広大な空間の透明度を読者に強く印象づける名句です。

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