草の錦
autumn 植物

草の錦

くさのにしき

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意味・由来

「草の錦(くさのにしき)」とは、秋の野山に美しく咲き乱れる様々な草花や、色鮮やかに紅葉した草の葉、実などが、まるで豪華な錦の織物のように四方に広がっている様子を表現した季語です。木々の紅葉が「山の錦」と称されるのに対し、足元を彩る草花の華やかさを愛でる、非常に雅やかで繊細な美意識に基づいています。

この季語で詠むコツ

目の前に広がる草むらの色彩豊かな美しさを、一歩引いて大きな絵画のように捉えるのが基本です。また、ただ「美しい」と描写するだけでなく、そよぐ秋風や、傾きかけた夕日の光などを取り合わせることで、静寂の中に動的な美しさや時間的な移ろいを表現すると、より情感豊かな句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩や光を表す言葉(「夕日」「薄紅」「黄金」「露」など) ・風や自然の動き(「秋風」「そよぐ」「乱る」など) ・場所や侘び住まい(「庵」「小道」「野原」など)

草の錦」の俳句例 (3件)

草の錦むかしの人のしとねかな
与謝蕪村【現代語訳】色鮮やかに織りなされた秋の草の錦は、まるで遥か昔の雅な人々が敷いた美しい敷物(しとね)のようであるなぁ。【鑑賞】足元の秋草の紅葉や草花を、かつての貴人が使った豪華な座具に見立てた一句。蕪村らしい古典的でロマンチックな世界観が表現されており、一木一草への温かい眼差しが感じられます。
草の錦織りまぜておく庵かな
松尾芭蕉【現代語訳】様々な秋の草花が美しく色づき、まるで錦の織物を周囲に敷き詰めたように佇んでいる私の庵(いおり)であることよ。【鑑賞】質素でわびしい庵の周囲を、大自然がもたらす豪華な「草の錦」が美しく彩っている様子を詠んでいます。贅を削ぎ落とした暮らしの中にこそ、本物の美しさと心の豊かさがあることを教えてくれる名句です。
草の錦かりほの庵のまはりかな
正岡子規【現代語訳】美しく色づいた秋の草の錦が、この仮初めの庵の周りを取り囲んで輝いていることよ。【鑑賞】粗末で小さな仮の小屋(かりほの庵)と、それを包み込むように自然が織りなす豪華な「草の錦」との対比が非常に鮮やかです。ささやかな日常のなかに見出す自然の恩恵を素直にスケッチしています。

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