安石榴

安石榴

ざくろ

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意味・由来

「安石榴(ざくろ)」は、秋に熟して鮮やかな実を結ぶミソハギ科(旧ザクロ科)の落葉小高木の果実を指す三秋の季語です。「石榴」とも書きます。原産地とされる古代ペルシャからシルクロードを経て中国の「安石国(安国・石国)」から伝わったことが「安石榴」の漢字の由来とされています。秋が深まるにつれ、熟した硬い果皮が自ずと裂け、中からルビーのように透き通った真紅の粒(種子)がぎっしりと顔を覗かせます。その実が弾ける様子を古くから「笑う」「破れる」「裂く」などと表現し、エキゾチックで生命感あふれる姿が愛されてきました。

この季語で詠むコツ

石榴を詠む際は、外皮の荒々しい質感と、中から溢れ出る宝石のような粒の美しさや瑞々しさの対比を描くのが効果的です。また、果皮がパックリと割れるダイナミックな瞬間や、弾けた実が夕日や秋の光を受けて輝く様子に着目すると臨場感が出ます。酸味の強い味覚や、どことなく妖艶で少しグロテスクともとれる独特の存在感を、日常の情景や心理描写と重ね合わせて詠むのもおすすめです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色や光を表す言葉:紅、朱、茜、夕日、秋日、照る、ルビー
  • 動作・状態を表す言葉:裂く、割る、笑む、こぼる、覗く、酸し(すし)
  • 場所・情景:古庭、土塀、日陰、風、青空

安石榴」の俳句例 (3件)

水落ちて安石榴の実のわれにけり
高浜虚子【現代語訳】田の水が落とされて秋が深まり、庭のざくろの実も熟して自然と割れたことだ。 【鑑賞】農作業の季節の移り変わり(落水)と、庭のざくろの実が熟して割れる自然の営みを淡々と、しかし的確に捉えた句です。秋の訪れと実りの成熟が静かに重なり合っています。
笑ふては狂気に似たり庭石榴
正岡子規【現代語訳】庭のざくろの実が裂けているのは、まるで狂人が大口を開けて笑っているかのようだ。 【鑑賞】ざくろの実が割れることを古来「笑む」と表現しますが、子規はそのぱっくりと開いた赤い口のような裂け目を「狂気の笑い」と捉えました。ざくろが持つ特異で妖しい生命力を鮮烈に描き出した一句です。
日輪を吸ひ尽してや実石榴
水原秋桜子【現代語訳】太陽の強い光とエネルギーをすべて吸い尽くしたかのように、実石榴が真っ赤に熟している。 【鑑賞】ざくろの濃密な赤色と充実した果実の姿から、夏の強い日差しを余すところなく吸収して結実したという壮大なイメージを膨らませた句です。色彩感豊かで力強い生命力が表現されています。

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